愛知県小牧市に位置する名古屋飛行場(通称:名古屋空港)は、現在「県営名古屋空港」として民間利用されている一方で、航空自衛隊の小牧基地も併設されており、軍民共用空港という珍しい形態をとっています。なぜこのような形で同じ場所に共存しているのか、その歴史的経緯や運用上の理由を、わかりやすく解説します。
もともとは軍事空港として開発された小牧基地
現在の名古屋空港の敷地は、戦前に陸軍の小牧飛行場として整備されたのが始まりです。太平洋戦争中は軍用基地として使用され、戦後はアメリカ空軍に接収された時期もありました。
1958年には日本に返還され、航空自衛隊小牧基地として正式に設置されました。その後、同じ敷地内に民間航空会社も乗り入れるようになり、軍民共用の飛行場としての歴史が始まりました。
このように、小牧基地が先に存在しており、その後に民間利用が加わったというのが正しい流れです。
名古屋空港としての発展と中部国際空港の開港
1970年代から2000年代初頭にかけて、名古屋空港は中部地方の玄関口として、国内外の航空便が多く乗り入れていました。しかし、空港の敷地が狭く、騒音問題や発着枠の制限などの課題がありました。
これを受け、より大規模な空港として整備されたのが中部国際空港(セントレア)で、2005年に開港。同時に国際線および主要な国内線の多くがセントレアへ移転しました。
その後、名古屋空港は県営化され、国内の一部航空路線やビジネスジェット、航空機整備拠点、そして航空自衛隊の利用に特化した現在の形態となっています。
軍民共用のメリットと課題
小牧基地と名古屋空港の共用には、いくつかの利点があります。まず、滑走路や航空管制などのインフラを共有できるため、コストの削減につながる点が大きなメリットです。
さらに、災害時には自衛隊の輸送機やヘリコプターが即応でき、民間機による支援物資の搬送などと連携が取りやすくなります。
一方で、運用上の課題もあります。軍用機の訓練と民間機の運航スケジュールが重なると調整が必要であり、滑走路の使用時間にも制限が出る場合があります。
現在の利用状況と今後の展望
現在、県営名古屋空港はフジドリームエアラインズ(FDA)などの地域路線のほか、ビジネスジェットや整備拠点として利用されています。一方、自衛隊小牧基地では輸送機C-130Hなどが常駐し、災害派遣や国際活動への出動拠点として機能しています。
近年ではMRJ(三菱スペースジェット)の開発拠点としても注目されていましたが、現在はその後継となる航空関連産業の維持・発展が地域経済の鍵ともなっています。
共用空港としての特性を活かしつつ、今後も地域と自衛隊が共存する形での運用が求められていくでしょう。
全国にあるその他の軍民共用空港との比較
名古屋空港のような軍民共用空港は全国にいくつか存在しています。たとえば。
- 新千歳空港(航空自衛隊千歳基地)
- 那覇空港(航空自衛隊那覇基地)
- 岩国錦帯橋空港(米軍・海上自衛隊岩国基地)
これらの空港でも、同様に民間機と軍用機が共存する仕組みがとられており、地域事情に応じた運用が行われています。
名古屋空港もこのような流れの中で、民間・防衛の双方にとって合理的な共用空港として維持されているのです。
まとめ:名古屋空港と小牧基地の共存は歴史と合理性の結果
名古屋空港と自衛隊小牧基地が同じ場所にある理由は、戦前からの軍事利用という歴史的背景と、戦後の民間利用拡大という時代の変化が交差した結果といえます。現在では、災害対応や航空産業支援など、多機能な役割を果たす重要な空港として運用されており、軍民共用の形態が今も続いているのは、その合理性と地域への貢献によるものです。
今後も、民間航空の発展と防衛のニーズを両立させる共用モデルとして、その在り方が注目されることでしょう。


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