三重県四日市市は、人口30万人を超える中京圏有数の工業都市であり、都市インフラや経済規模も非常に高い水準を誇ります。それにもかかわらず、政令指定都市や中核市といった“指定都市”の一つには含まれていません。この記事では、四日市市がなぜ中核市に移行していないのか、その背景と中核市制度の概要をわかりやすく解説していきます。
そもそも中核市とは何か?
中核市とは、地方自治法に基づく制度で、都道府県から一部の行政権限を移譲される都市のことを指します。保健所の設置や都市計画の一部、環境・福祉・教育などの行政分野において、独自の施策が可能になります。
中核市の指定要件は以下の通りです。
- 人口20万人以上であること
- 市議会の議決を経て申出を行うこと
- 都道府県との協議・国の同意があること
つまり、中核市になるには“自ら望む”ことと“周囲の同意”が前提となります。
四日市市の現状と条件はクリアしているのか?
四日市市の人口は約31万人(2024年時点)で、中核市の人口基準(20万人)を大きく上回っています。また、経済・医療・交通などの都市基盤も整っており、他の中核市と比べても遜色ありません。
実際、かつては中核市移行を検討していた時期もあり、市議会で議題として取り上げられたこともあります。しかし、申請には至っていないのが現状です。
なぜ中核市申請がなされていないのか?
四日市市が中核市になっていない主な理由として、次のような要素が指摘されています。
- コストと人員の問題:中核市に移行すれば行政事務が大幅に増え、それに対応する職員の増員・育成が必要になります。
- 県との調整・分担:三重県との行政分野の調整が必要となり、スムーズな移譲が難航するケースも。
- 市内の合意形成が不十分:議会や市民の中で「今のままで十分では?」という声も存在。
例えば、同じく人口規模が似ていた「豊田市」や「川口市」なども、長らく中核市指定を見送っていた時期があり、都市の方針と行政リソースのバランスが大きく関係します。
中核市になるメリットとデメリット
中核市になると、住民サービスの質を自らの裁量で高められるというメリットがあります。地域密着の保健所運営や都市独自の福祉政策が可能になり、迅速で柔軟な行政対応が期待されます。
一方で、先述の通り人件費や施設整備などのコストが増えること、職員の専門知識強化が必要になる点は慎重に判断すべき課題です。
今後の見通しと他都市の動向
近年では、人口減少を背景に中核市化が再注目されており、2024年には富士市・川口市などが中核市に移行しました。これにより、中核市の機能強化が「自治体の生き残り戦略」の一つとして位置づけられつつあります。
四日市市も、今後行政改革や人口動向を踏まえて再び中核市移行の議論が再燃する可能性は十分にあります。
まとめ:四日市市は条件を満たしているが、戦略的判断は今後に委ねられる
四日市市が中核市でない理由は、「人口や都市力が不足している」からではなく、申請の意思や行政的な準備が整っていないことが大きな要因です。
今後、住民ニーズや自治体間競争の中で、四日市市がどのような都市戦略を選択していくのか注目されます。中核市移行はあくまで「手段」であり、「どう街を発展させていくか」が本質といえるでしょう。


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