動物園のホッキョクグマが同じ行動を繰り返す理由とは?常同行動とストレスの関係を解説

動物園、水族館

動物園でホッキョクグマなどの大型動物を観察していると、一定の動きを何度も繰り返す姿を目にすることがあります。例えば「左右に行き来する」「同じ場所でぐるぐる回る」「同じ動作を延々と行う」などです。これらの行動は一般に「常同行動(じょうどうこうどう)」と呼ばれ、動物福祉の観点から注目されています。

常同行動とは何か?

常同行動とは、動物が明確な目的や刺激なしに、同じ動作を反復する行動のことを指します。人間でいうと貧乏ゆすりや爪噛みのようなもので、心理的なストレスの発散、または刺激の欠如によって引き起こされると考えられています。

この行動は、野生ではほとんど見られないため、飼育環境に起因するものとされ、動物園や水族館で飼育される動物に特有の現象とも言われます。

ホッキョクグマに多い理由とは

ホッキョクグマは野生では数十kmもの広範囲を移動しながら狩りをする動物です。そのため、狭いスペースでの生活が本来の習性に合っていないことが大きなストレス要因になると指摘されています。

実際、多くの動物園でホッキョクグマに常同行動が見られやすいことは報告されており、「左右に歩く」「壁に頭をこすりつける」「水中で同じルートを回る」などが代表例です。

天王寺動物園のホッキョクグマの行動も常同行動?

天王寺動物園のホッキョクグマが「左から右へ歩き、端で体を回してまた戻る」という行動を繰り返していたとのことですが、これは典型的な常同行動のパターンのひとつに該当します。

ただし、常同行動=虐待や悪い飼育環境という単純な図式ではなく、現代の動物園ではこうした行動を改善するための「環境エンリッチメント」と呼ばれる取り組みも進んでいます。

ストレス軽減のための取り組みと事例

多くの動物園では、常同行動の頻度やパターンを観察し、ストレスの兆候とみなして対策を講じています。たとえば。

  • 飼育エリアに段差や隠れ家を設ける
  • 餌を隠して探させる「採食行動」促進
  • 水中での遊び道具を導入する
  • 展示スペースを時間帯で使い分ける

天王寺動物園でも「行動観察」や「エンリッチメントプログラム」の導入を行っており、来園者が気づかない裏側で様々な工夫がされています。

来園者ができること

私たち来園者も、動物の行動を観察し、「かわいそう」と思う気持ちを“理解しようとする姿勢”に変えることで、動物福祉の向上に貢献できます。

動物園によっては、動物の行動記録や飼育情報を公開していることもあるため、公式サイトや案内板をチェックしてみるのもおすすめです。気になる点があれば、スタッフに声をかけることでより詳しい説明を聞けるかもしれません。

まとめ:繰り返す行動は動物からのサインかもしれない

ホッキョクグマの同じ動作の繰り返しは、常同行動と呼ばれる可能性があり、ストレスや刺激不足のサインとされます。ただし、動物園ではこれを減らすための取り組みも進められており、来園者もその背景を知ることで理解を深めることができます。

次に動物園を訪れる際は、動物の行動に目を向けるとともに、その環境や飼育の工夫にもぜひ注目してみてください。

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