日本での永住ビザ申請を考える際、「生活保護を受けていると不利になるのか」「母子手当も影響するのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。この記事では、永住ビザの審査基準と、それに対して生活保護や各種手当がどう関係するかについて、制度の観点からわかりやすく解説します。
永住ビザの基本要件とは?
日本の永住ビザ(永住許可)を取得するには、法務省が提示する次の3つの要件を満たす必要があります。
- 素行が善良であること
- 独立生計を営むに足りる資産または技能を有すること
- 原則として10年以上継続して日本に在留していること(特例あり)
このうち「独立生計」の部分が、生活保護や手当との関係で重要なポイントとなります。
生活保護を受けていると永住ビザは難しい?
はい、生活保護を受けている場合、原則として永住ビザの許可は難しいとされています。
なぜなら、生活保護は「公的扶助」にあたり、自らの生活を自立して営むことができないと判断されるためです。法務省は永住許可の審査において、「公共の負担になっていないかどうか」を重視しています。
ただし、過去に一時的に生活保護を受けていたが、その後自立して安定した生活をしている場合などは、状況によって考慮されることもあります。
母子手当(児童扶養手当)は影響する?
いいえ、母子手当(児童扶養手当)は生活保護とは異なり、永住申請に直接不利になるものではありません。
児童扶養手当は「社会保障制度の一環」として、ひとり親家庭の生活を支援するための給付です。これは収入がある中で子育て支援の目的で給付されるものであり、生活保護のような「生計を維持できないための扶助」とは異なります。
そのため、安定した収入があり、手当は補助的に受給しているという状態であれば、永住ビザの申請において大きなマイナスにはなりません。
具体的な判断例:ケーススタディ
ケース1:申請時に生活保護を受給中 → 基本的には不許可。例外的な事情があっても審査は厳しい。
ケース2:以前は生活保護を受給していたが、現在は定職について年収も安定している → 過去の状況として申告すれば考慮対象にはなるが、しっかりした説明書類が必要。
ケース3:母子家庭で児童扶養手当を受給しているが、就労収入があり生活は安定 → 許可される可能性がある。
申請を成功させるためのポイント
- 生活保護を現在受給している場合は、受給終了後に申請を検討する。
- 手当を受けていても、就労収入があり生活が安定していることを証明する。
- 課税証明書・源泉徴収票・預金残高証明書などを準備する。
- 行政書士やビザ専門の専門家に相談する。
まとめ
永住ビザの取得において、生活保護の受給は大きな障壁となる一方で、母子手当のような制度は直ちに不利になるものではありません。ただし、すべては「自立して生活できるか」という点に集約されます。自身の状況にあわせて、正確な情報と証明書類を準備し、専門家のサポートを受けながら申請を進めることをおすすめします。

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