アメリカの永住権、いわゆるグリーンカード(Green Card)は、取得に多大な労力と時間を要するため、途中で申請を破棄するという選択は慎重に考えるべき事項です。しかし、さまざまな事情から申請の破棄や取り下げを検討する人もいます。ここでは、申請中のグリーンカードを破棄した場合の影響と、その後のアメリカへの渡航が可能かどうかについて詳しく解説します。
グリーンカード申請の途中で破棄することは可能か
まず結論から言えば、グリーンカード申請は途中で撤回・破棄することが可能です。I-130やI-485などの申請書を提出済みであっても、USCIS(米国市民権移民局)に申請取り下げの意思を伝えることで、正式に手続きを中止できます。
ただし、取り下げをする際には、明確な理由を記載した書面を提出することが望ましく、特に将来的にビザの申請や入国を希望する場合には、移民局の記録に悪影響を与えない形で対応することが重要です。
申請破棄後でもアメリカ旅行はできるのか
原則として、申請を破棄したからといってアメリカへの渡航が永久にできなくなるわけではありません。観光ビザ(B-2)やESTAを使った短期旅行での渡航は、状況により可能です。
ただし、過去に移民申請歴がある場合、入国審査で「移民の意思がある」とみなされるリスクがあります。特にESTAを使った入国では、過去の移民履歴が電子的に確認され、入国拒否されるケースもあるため注意が必要です。
入国審査で注意すべきポイント
- 誠実な説明が必要:過去にグリーンカードを申請したが、何らかの理由で破棄したことを正直に伝えることが重要です。
- 帰国の意思を示す:観光目的での入国であれば、確実に帰国する意思があること(往復航空券、職場や家庭の証明など)を明示できる書類を携行しましょう。
- ESTAよりビザ申請が安全:過去の移民歴がある場合は、ESTAではなく正式な観光ビザ(B-2)を領事館で取得する方が安全です。面接で過去の事情を説明し、ビザが発給されれば入国審査もスムーズです。
実際の体験談から学ぶ
過去には「婚約者ビザ(K-1)を申請したが、事情により破棄。その後ESTAで渡航しようとしたところ、空港で入国拒否された」という事例もあります。一方で「グリーンカード申請を自主的に破棄し、後日B-2ビザを取得して問題なく観光できた」という成功例も存在します。
つまり、破棄の経緯やその後の誠実な対応が、将来の入国審査に大きく影響するのです。
まとめ
グリーンカード申請を途中で破棄することは可能ですが、その後のアメリカ旅行には注意が必要です。入国審査では過去の申請履歴がチェックされるため、誠実な対応と必要書類の準備が重要になります。安全に渡航するためには、ESTAではなく正式なB-2ビザ取得を検討するのも一つの方法です。
不安がある場合は、米国移民法に詳しい弁護士やビザ申請代行サービスなどの専門家に相談することをおすすめします。


コメント