東京の都市風景を語る上で欠かせない存在である首都高速道路。高架構造が多く、景観や騒音の問題も指摘され続けています。一部では地下化が進められているものの、なぜ全体の地下化が進まないのか——この記事ではその理由や背景、技術的課題について詳しく掘り下げます。
東京の首都高はなぜ高架が多いのか?
首都高速道路が建設された1960年代は高度経済成長期にあたり、急速に増える自動車交通に対応するため、とにかく早期完成が求められました。その結果、既存の地上権や土地取得の必要が少ない河川上空や既存道路の上に高架で建設される手法が選ばれたのです。
たとえば、日本橋周辺では川の上に高速が通っており、長年にわたり「景観を損なう」として議論の的となってきました。
地下化が可能な場所と現状
現在、地下化が進められている代表例が「日本橋区間地下化事業」です。この計画では、日本橋の景観回復を目的に、首都高の一部を地下トンネル化して地上部分を撤去する構想が進められています。
ただし、地下化できる場所は限られており、地盤条件や地下鉄など既存インフラとの関係を慎重に考慮する必要があります。
地下化が進まない3つの主な理由
- コストの問題:地下トンネルの建設は、通常の高架構造に比べて数倍のコストがかかります。地下水処理や避難路の確保も含め、1kmあたり数百億円規模の予算が必要です。
- 地中インフラとの干渉:東京都心部では、すでに地下鉄や上下水道、ガス管が密集しており、それらを避けてトンネルを掘ることは容易ではありません。
- 交通規制や工期の長さ:地下工事は長期間にわたり交通規制が必要となるため、都市機能に与える影響も大きく、計画実現のハードルが高いのが現状です。
海外事例から見る地下化のヒント
たとえば、韓国ソウルでは「清渓川(チョンゲチョン)」という高速道路を撤去し、川を復活させたことで都市景観の大幅な改善に成功しました。こうした取り組みは国際的にも高く評価されており、東京の都市計画にも参考となる部分があります。
ただし、ソウルのような取り組みが成功するには、強い政治的意志と市民の合意形成、そして大規模な財源確保が不可欠です。
今後の展望と地下化の可能性
東京都では「脱・高架」の方針を一部掲げており、将来的には地下化の拡大が検討される可能性もあります。しかし現実的には、一部区間を段階的に進めていく方法が最も現実的とされています。
とくに、歴史的・観光的価値が高い日本橋や丸の内エリアは、地下化の優先順位が高く設定されています。
まとめ
首都高の地下化には多くの課題があるものの、都市の景観や快適性向上のためには重要なテーマです。技術的進歩や市民の声が追い風となり、今後さらに地下化が進む可能性もあるでしょう。私たち一人ひとりがこの課題に関心を持ち、未来の都市について考えることが、より良い東京をつくる第一歩となります。


コメント