近年、全国各地の路線バスで耳にするようになった「機械合成音声」。特にLECIP製の放送システムは、仙台市営バスや札幌市のじょうてつバス、江ノ電バスなどでも採用が進んでいます。その一方で、従来の人間による録音音声に比べ「不自然さ」や「聞き取りにくさ」を指摘する声もあります。本記事では、LECIPの合成音声放送が導入される背景やその利点・課題をわかりやすく紹介します。
LECIPの合成音声とは?
LECIP(レシップ)は公共交通向けの車内放送や運賃機器などを開発する国内企業です。彼らの音声システムには、AI技術を用いた「機械合成音声」が搭載されており、文字データから直接音声を合成するのが特徴です。これは、従来の録音音声とは異なり、個々の駅名や注意喚起を自在に組み合わせて発声できる柔軟性があります。
例として、LECIPの合成音声は「次は〇〇駅です」「降車の際は足元にご注意ください」などの定型文に地名を挿入し、人の声に似せた抑揚とスピードでリアルタイムに再生します。
なぜ機械合成音声が導入されているのか?
最大の理由は、コスト削減と保守性の向上です。録音音声の場合、地名変更や路線変更があるたびに新たに録音・編集を行う必要があり、作業と費用がかさみます。
また、車内アナウンスの自動化・多言語対応にも対応しやすいため、インバウンド需要がある都市部では特に重宝されています。実際、LECIPのシステムは英語・中国語・韓国語のアナウンスにも対応可能です。
利用者の声:好評と不満が交錯
一部の利用者からは「無機質すぎて怖い」「イントネーションが不自然」といった批判の声も聞かれます。特に高齢者や視覚障がい者にとっては、聞き取りづらさが重大な問題となる場合もあります。
一方で、「明瞭で聞きやすい」「騒音の中でも聞き逃しにくい」と肯定的な意見もあり、バス会社による調整次第で印象が大きく変わるようです。
今後の改善に向けた取り組み
LECIPをはじめとする企業は、合成音声の自然さを向上させるために音声エンジンの改良を重ねています。AIによるディープラーニングを活用し、より自然な抑揚・発音が可能な音声モデルの開発が進行中です。
また、バス会社の現場では、音量の調整やノイズキャンセリング技術の導入など、利用者の聞き取りやすさを重視したカスタマイズも行われています。
全国での導入状況と代表的な事例
- 仙台市営バス:LECIPの合成音声を早期導入。主要路線で標準化。
- じょうてつバス(札幌):音声品質への配慮から利用者に配慮した放送設計。
- 江ノ電バス:2023年頃から段階的に導入との報告あり。
地域やバス会社によっては、人の声に近いタイプの音声合成を導入しているケースもあり、一概に「LECIP=聞き取りにくい」とは言えないことも事実です。
まとめ:合成音声は「進化の途中」にある
LECIPをはじめとする機械合成音声の導入は、コストや運用の効率化、多言語対応といった観点から現代の公共交通には欠かせない技術となっています。一方で、「聞き取りやすさ」や「親しみやすさ」の面で、まだ改善の余地があることも否定できません。
技術の進化と共に、合成音声もより自然で快適なものへと変わっていくことが期待されています。これからも利用者の声を反映しながら、より良い車内環境が整備されていくことに期待しましょう。


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