船内のカビ対策とは?湿度管理が命運を握る船の衛生事情

フェリー、港

海上を長期間航行する船舶は、周囲を水に囲まれた環境にあるため、常に高湿度と隣り合わせです。とくに穀物などの食品や原料を運ぶ貨物船では、湿気によるカビの発生は大きなリスク要因となります。この記事では、船内のカビ発生リスクと対策について詳しく解説します。

なぜ船内はカビが生えやすいのか?

船舶は海上を移動するため、周囲は常に海水に囲まれています。その影響で船内の湿度が高まりやすく、密閉された空間での空気循環も限られるため、カビの発生しやすい環境が自然と整ってしまうのです。

特に居住区や貨物倉庫、エンジンルームなどでは温度・湿度のバランスが悪く、結露が発生しやすいことも要因となっています。

穀物輸送でのカビリスクとその影響

穀物は水分を含みやすく、長期間湿気にさらされると発酵・腐敗の原因になります。カビが発生すれば商品価値が失われるばかりでなく、カビ毒(マイコトキシン)による健康被害リスクも生じます。

たとえば、小麦・大豆・とうもろこしなどを運搬するバルクキャリアでは、荷室内の通気性や湿度制御が非常に重要視されています。

実際に行われている船内のカビ対策

  • 除湿装置の設置:貨物室には除湿器やエアドライシステムを搭載し、湿度管理を徹底。
  • ベント(換気)管理:貨物室内の空気を強制的に外部と循環させ、湿気を外に逃がす。
  • 乾燥剤の使用:穀物の間にシリカゲルなどの乾燥剤を挿入し、微細な湿気を吸収。
  • 荷積前の徹底清掃と消毒:船倉を洗浄・乾燥させ、カビ菌や湿気を徹底的に除去。

これらの対策は、国際海事機関(IMO)や各船会社のガイドラインに基づき、厳格に管理されています。

居住エリアのカビ予防策

乗組員が生活する区画でも、快適な居住環境を保つために様々な工夫が施されています。エアコンによる除湿、ベッド下の防湿マット、カビ取り剤の常備などが一般的です。

長期航海になると、シャワールームやキッチンなどの水回りは特に注意が必要で、定期的な換気と清掃が義務付けられています。

カビによるトラブル事例と教訓

ある国際輸送業者では、通気口の閉鎖が不十分だったために穀物にカビが発生し、積荷全体が廃棄対象になったケースが報告されています。被害額は数千万円にのぼり、保険請求にも発展しました。

この事例からもわかる通り、船内環境の管理は経済的にも安全面でも極めて重要であるといえます。

まとめ:船内の湿度管理は命綱、カビ対策は万全に

船は高湿度な環境で運用されるため、カビのリスクは常につきまといます。とくに穀物輸送などの貨物ではカビによる品質低下や健康リスクを防ぐため、除湿・換気・清掃などを組み合わせた多層的な対策が求められます。

船内のカビ対策は見えにくい部分ですが、安全と品質を守るための陰の主役です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました