旧甲州街道は、江戸と甲府を結んだ五街道のひとつで、特に小仏峠付近はその難所として知られてきました。しかし、現在の道路やトンネル整備により、かつての街道の一部は姿を消し、特に東京側と山梨側で道が「切れている」ように見える箇所もあります。この記事では、小仏峠を挟んで旧街道がどのように接続されていたのかを、歴史的な視点と実地のルート情報から詳しく解説します。
小仏峠とは何か:交通の要衝としての歴史
小仏峠は、東京都八王子市と山梨県上野原市の境に位置し、江戸時代から交通の難所として知られていました。甲州街道の宿場町である小原宿(山梨側)と小仏宿(東京側)を結ぶルートにあり、標高約548mの峠を徒歩で越えていた時代の名残が今も感じられます。
当時の旅人は、街道筋に点在する茶屋や関所を経て、小仏峠を越えるルートを選んでいました。この道は明治以降の道路整備で廃道になった部分も多く、現在ではハイキングコースとして親しまれています。
東京側:高尾から小仏峠へのルート
東京側では、高尾駅から高尾山口駅を経由し、小仏バス停までアクセスが可能です。そこから旧甲州街道は徒歩道となり、「小仏峠登山道」として整備された山道を登っていきます。
道中には道標や案内板が設置されており、江戸時代の街道の雰囲気を感じながら歩くことができます。また、「旧甲州街道」と記された石碑なども各所に残されています。
山梨側:小仏トンネル付近からの接続ルート
一方、山梨側では上野原市にある小原宿(こばらじゅく)から旧街道が始まりますが、高速道路(中央自動車道)の小仏トンネル付近で道が途切れているように見える箇所があります。
実際には、高速道路の開通以前に使用されていた旧道が現在も一部残っており、小原宿から国道20号(甲州街道)を少し外れた林道を通って小仏峠方面へと続く「旧登山道ルート」に合流します。
小仏峠の実地踏破:現在のアクセスと注意点
現在でも小仏峠はハイキングルートとして人気があり、東京・山梨の双方から歩いて越えることが可能です。東京都側の「高尾山系自然歩道」、山梨側の「旧甲州道ハイキングルート」などが代表的です。
ただし、整備されていない箇所や倒木・ぬかるみの多い季節もあるため、事前に天候や装備の準備が必須です。Googleマップや登山専用アプリ(YAMAPやヤマレコ)での確認を推奨します。
実際の旧街道ルートをたどる体験例
筆者が2023年に踏破した際には、高尾駅からバスで小仏バス停まで行き、そこから徒歩で峠を越え、小原宿の資料館に立ち寄るルートを選びました。道中には昔ながらの茶屋跡や石仏などもあり、歴史を肌で感じられる体験となりました。
山梨側からの登りはやや傾斜が急ですが、昔の旅人も同じ道を歩いていたと思うと感慨深いものがあります。
まとめ:かつての甲州街道を現代に感じる旅へ
旧甲州街道の小仏峠周辺は、現代の道路網によって途切れて見えるものの、実際には登山道や旧道を通じて繋がっていた歴史があります。東京側からも山梨側からも歩いて越えることができ、歴史探訪や自然散策として非常に魅力的なルートです。
歴史的な街道に興味のある方や、江戸時代の旅人気分を味わいたい方にはぜひおすすめしたいスポットです。

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