投資と聞くと、不動産や株式、最近では暗号資産を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、実は旅客機も個人投資の対象になり得るのです。これは航空機リースというビジネスモデルに基づいた投資手法であり、近年注目を集めつつあります。今回はこの仕組みと可能性、そしてリスクについて詳しく解説します。
航空機リースとは?
航空機リースとは、航空機を所有している企業が航空会社に対して一定期間貸し出し、使用料を受け取るビジネスモデルです。世界の航空会社の約半数は、リースによって運航機材を確保していると言われています。
このリース会社には、個人投資家も出資できるスキームが存在します。例えば、特定目的会社(SPC)を設立し、その会社が航空機を購入し、航空会社にリースする形です。
個人でも航空機に投資できる仕組み
このようなスキームは「航空機ファンド」や「オペレーティングリース投資」などと呼ばれ、証券会社や信託銀行を通じて販売されています。主に1口数百万円からと、ハードルは高めですが、富裕層を中心に一定の人気を集めています。
たとえば、エミレーツ航空やANAなどとリース契約を結んだ機体に投資できるファンドも存在し、一定期間ごとの配当(リース料からの分配)を受け取ることが可能です。
リターンとリスクの特徴
航空機リース投資の魅力は、比較的安定したリース収入によるキャッシュフローと、為替差益・機体の売却益を期待できる点です。機体の残存価値が想定以上であれば、最終的な収益も大きくなります。
しかし当然ながらリスクも存在します。航空会社の倒産、パンデミックなどによる航空需要の急減、為替変動、法規制変更、機体の整備費用増加などが代表例です。
実際に行われている事例
日本国内でも、三井住友信託銀行や大和証券グループなどが、航空機オペレーティングリースのファンドを取り扱っており、特定の投資家向けに商品化されています。
例えば「グローバル・オペレーティング・リース・ファンド」などは、ボーイング737やエアバスA320といった中型機に投資し、アジアや欧米の航空会社と契約を結ぶ形式です。
税務上の取り扱いと注意点
航空機リース投資は「匿名組合契約」として行われることが多く、損益通算の可否や減価償却、海外所得の扱いなど、税務処理には専門知識が必要です。そのため、税理士への相談や信託銀行によるサポートが推奨されます。
また、最低投資額が高いため、ポートフォリオの一部としての位置づけや資産全体の分散を考慮することも重要です。
まとめ:高額だが魅力的なニッチ投資
旅客機は確かに個人でも投資可能な対象となりますが、それには特定の仕組みと資金力が求められます。リスクを十分に理解し、信頼できる金融機関やプロフェッショナルと連携することで、安定的な収益源としての可能性が見えてくるでしょう。
航空業界に関心があり、中長期的な資産運用を考えている方には、一考の価値がある投資手法と言えるかもしれません。


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