路線バスの運賃は、地域や路線によって異なる仕組みで設定されています。特に地方では、距離に応じて運賃が変動する「距離制運賃」が一般的ですが、都市部では均一運賃が採用されることもあります。この記事では、バス運賃の決定方法やその背景について詳しく解説します。
バス運賃の基本的な決定方法
バス運賃は、主に以下の要素を基に計算されます。
- 基準賃率:1人を1キロ輸送するのに必要な費用を基にした運賃率。
- 適用区間キロ:乗車区間の実際の距離。
- 遠距離逓減率:距離が長くなるほど1キロあたりの運賃が安くなる割引率。
これらを組み合わせて、基準賃率 × 適用区間キロ × 遠距離逓減率という式で運賃が算出されます。(参考:国土交通省「乗合バス運賃制度について」)
距離制運賃と区間制運賃の違い
距離制運賃は、乗車距離に応じて運賃が変動する方式で、地方の路線バスで広く採用されています。一方、区間制運賃は、路線をいくつかの区間に分け、区間ごとに運賃が設定される方式です。区間をまたぐごとに運賃が加算されるため、長距離移動では運賃が高くなる傾向があります。
例えば、東京都内の都営バスでは、23区内は均一運賃(210円)ですが、多摩地域では距離に応じて運賃が変動します。(参考:東京都交通局「運賃・乗車券・定期券」)
地域協議による運賃設定
一部の地域では、地方自治体や地域の公共交通会議などの協議を経て、運賃が設定されることがあります。これにより、地域の実情に合わせた運賃設定が可能となり、利用者の利便性向上や公共交通の維持に寄与しています。
例えば、奈良交通では、自動継続型の定期券「CI-CA plus」を導入し、利便性の向上を図っています。また、愛知県東浦町の「う・ら・ら」では、バスとタクシーの回数券を共通利用できるようにするなど、地域に根ざした運賃施策が実施されています。(参考:交通とりせつ「乗合バスの運賃はどうやって決まっているの?」)
運賃の上限認可制度
バス事業者が運賃を設定する際には、国土交通大臣の認可を受ける「上限認可制度」が適用されます。この制度では、事業者が申請した運賃の上限額について、国が審査を行い、適正であると認められた場合に認可されます。認可された上限額の範囲内であれば、事業者は届出だけで運賃を設定・変更することが可能です。(参考:横浜市「路線バスの基礎知識」)
まとめ
路線バスの運賃は、距離や区間、地域の協議など、さまざまな要素を考慮して設定されています。利用者としては、運賃体系を理解することで、より効率的にバスを利用することができます。また、地域の公共交通を維持・発展させるためには、運賃制度への理解と協力が不可欠です。


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