トルコ鞍空洞症(Empty Sella Syndrome)の治療と手術の必要性について

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トルコ鞍空洞症(Empty Sella Syndrome、ESS)は、脳下垂体が平坦化または縮小し、トルコ鞍と呼ばれる頭蓋骨のくぼみに脳脊髄液が充満する状態を指します。多くの場合、無症状で偶然発見されることが多いですが、症状が現れる場合やホルモン異常がある場合には治療が必要となることがあります。

トルコ鞍空洞症とは

ESSには主に2つのタイプがあります。一次性ESSは、明確な原因がなく、脳脊髄液がトルコ鞍に侵入して下垂体を圧迫することで発生します。一方、二次性ESSは、腫瘍、手術、放射線治療、外傷などによって下垂体が損傷を受けた結果として発生します。

症状と診断

多くの人は症状がなく、偶然の画像検査で発見されますが、以下のような症状が現れることがあります。

  • 慢性的な頭痛
  • 視力の変化や視野欠損
  • ホルモン異常による月経不順、性欲減退、疲労感
  • 乳頭からの分泌物(高プロラクチン血症)

診断には、MRIやCTスキャンによる画像検査が用いられ、必要に応じて血液検査でホルモンレベルを確認します。

治療法と手術の必要性

治療の必要性は症状の有無やホルモン異常の程度によって異なります。

  • 無症状または軽度の症状: 多くの場合、特別な治療は不要で、定期的な経過観察が行われます。
  • ホルモン異常がある場合: 欠乏しているホルモンを補充するホルモン補充療法(HRT)が行われます。例えば、甲状腺ホルモン、性ホルモン、成長ホルモンなどが対象となります。
  • 脳脊髄液の漏れ(CSF漏)や視神経の圧迫による視力障害がある場合: 手術が検討されます。手術では、内視鏡を用いて鼻腔からアプローチし、トルコ鞍の修復や圧迫の軽減を行います。

手術は、症状が重度であり、他の治療法で効果が得られない場合に限られます。

トルコ鞍空洞症の予後と生活への影響

多くの患者は、適切な治療と管理により、通常の生活を送ることができます。定期的な医師の診察とホルモンレベルのモニタリングが重要です。生活習慣の改善、例えば体重管理や血圧のコントロールも予後に良い影響を与えるとされています。

まとめ

トルコ鞍空洞症は、多くの場合、無症状で治療を必要としない良性の状態です。しかし、症状が現れたり、ホルモン異常が確認された場合には、適切な治療が必要となります。手術は特定の重度な症状がある場合に限られます。疑問や不安がある場合は、専門の医師に相談することをお勧めします。

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