空港の出入国ゲートで働く審査官の姿を見て、「この人たちは拳銃を持っているのだろうか?」と疑問に思った方もいるかもしれません。この記事では、日本の出入国審査官(いわゆる入国審査官・出国審査官)が拳銃を所持しているかどうかを、制度と運用の観点から詳しく解説します。
出入国審査官の所属と役割
日本の出入国審査官は法務省入国管理局(現在の出入国在留管理庁)に所属する国家公務員であり、法務事務官のひとつです。彼らはパスポートやビザの確認、不法入国の防止、外国人の入国・滞在資格の審査を行っています。
これらの職務は行政職に該当し、警察官や海上保安官などの治安維持のために武器を携帯する職種とは本質的に異なります。
拳銃を所持するのは誰か?
空港や港湾で武装している人物は通常、警察官(空港警察)や、税関職員(特に麻薬探知担当)、あるいは入国者の監視に当たる法務省矯正局・入国警備官です。
入国警備官は刑事訴訟法や入管法に基づき逮捕・送還などの実力行使を行うため、拳銃の携帯が法的に認められていますが、通常の出入国審査官はその対象ではありません。
入国警備官と審査官の違い
両者は混同されがちですが、審査官=出入国の書類チェックや許可業務、警備官=不法滞在や逃亡者の摘発・逮捕と役割が異なります。入国警備官は警察職に近い性質を持ち、特別司法警察職員として扱われるため、拳銃や警棒を装備することがあります。
一方、審査官は法務事務官としての文民職であり、法的にも武装する義務や権限はありません。
空港で見かける制服と誤解
空港では制服を着た出入国審査官が業務を行っていますが、その制服や制帽は公的な立場を示すものであり、拳銃ホルスターなどの装備は通常所持していません。このため、見た目が厳格でも警察官や自衛官のような武装職とは別枠です。
セキュリティ面で不安がある場合、出入国管理庁職員が警察官に連携を要請する体制が構築されています。
まとめ:拳銃を所持するのは限られた職種
日本の出入国審査官が拳銃を所持することは原則ありません。法務省の入国警備官や空港警察、税関の特別な職種にのみ、拳銃携帯が認められています。審査官はあくまで文民職であり、出入国のスムーズな運用と法令遵守の確認を担っています。
そのため、「出入国審査官が拳銃を持っているのでは?」というイメージは、他の制服職員との混同による誤解である可能性が高いでしょう。


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