東京・丸の内エリアには、大正から昭和初期に建てられた由緒ある建築が数多く残っています。その中でも「商船三井ビルディング」や「日本郵船ビル」は、歴史的・美術的価値の高い建物として、多くの建築ファンや観光客に親しまれています。本記事では、これらの建築の魅力と違いについて解説します。
商船三井ビルディングとは
商船三井ビルは、1928年(昭和3年)竣工の鉄骨鉄筋コンクリート造のオフィスビルで、設計は渡辺節によるものです。大正ロマンの名残を色濃く残しつつ、昭和初期の合理性を取り入れたハイブリッドなデザインが特徴です。
重厚な石造風のファサードに、アール・デコ調の装飾がバランスよく配置されており、クラシックでありながらモダンな印象も併せ持っています。東京都選定歴史的建造物にも指定されており、保存価値が高い建物です。
郵船ビルの建築美との比較
一方、日本郵船ビルは1937年竣工。こちらも渡辺節の設計によるもので、より近代的・機能美を重視したデザインとなっています。直線的なフォルムや、装飾を抑えたミニマリズムな設計思想が特徴です。
美しさという点では、好みが分かれるところですが、「装飾性の美しさ」なら商船三井ビル、「端正さと機能美」なら郵船ビルといった印象です。
大正時代の建築が残ることの価値
大正時代の建築は関東大震災(1923年)や第二次世界大戦の空襲で多くが失われたため、現存する建物は非常に貴重です。商船三井ビルはまさにその数少ない一例といえます。
また、ビルの設計思想には当時の国際的潮流も反映されており、特にヨーロッパ建築様式の影響を日本的にアレンジした様子が見てとれます。
アクセスと見学のポイント
商船三井ビルと郵船ビルはいずれも東京・丸の内に位置し、JR東京駅や有楽町駅から徒歩圏内でアクセス可能です。外観は自由に見学できますが、内部は非公開のため、訪問時には外からの鑑賞にとどめましょう。
写真撮影にも適しており、朝や夕方の自然光が建物の陰影を際立たせ、美しさをより一層引き立てます。
近隣のおすすめ建築もチェック
丸の内エリアにはほかにも魅力的な歴史的建築が点在しています。
- 明治生命館(1934年)
- 丸の内ビルディング(通称:丸ビル)
- 三菱一号館美術館(復元建築)
これらを巡る「建築さんぽ」を楽しむことで、東京の歴史と近代化の歩みを体感できます。
まとめ:商船三井ビルの存在価値は“希少性と美”にあり
大正から昭和初期にかけての建築は、日本の近代化を象徴する文化遺産でもあります。中でも商船三井ビルは、その保存状態や美的価値において高く評価されています。建築に興味のある方は、ぜひ現地でその魅力を体感してみてください。


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