沖縄のしゃぶしゃぶにごまだれがない理由とは？地域性と味付け文化を探る

沖縄でしゃぶしゃぶを食べると、「あれ、ごまだれがない？」と感じる方は少なくありません。本州では定番のごまだれが、沖縄では置いていない店舗も多く見られます。これは単なる偶然ではなく、沖縄の食文化や地域性に根ざしたスタイルのひとつ。本記事では、その背景や実例を交えて解説していきます。

沖縄のしゃぶしゃぶは「さっぱり系」が基本

沖縄の飲食文化には「素材の味を活かす」「暑さに合ったあっさりとした味付け」が特徴として根付いています。そのため、ポン酢・塩・シークヮーサーだれなど、軽やかでさっぱりした調味料が好まれます。

とくに豚しゃぶが主流の沖縄では、脂の甘みとあっさりポン酢の相性が重視され、ごまだれのような濃厚な味つけはやや敬遠される傾向があります。

那覇市内の人気しゃぶしゃぶ店「〇〇しゃぶ庵」や「△△琉球鍋」では、タレはポン酢・塩・シークヮーサーだれの3種類のみ。店員に尋ねても「ごまだれは置いていないんです」と明言されることが珍しくありません。

一方、本州のチェーンしゃぶしゃぶ店「しゃぶ葉」や「温野菜」の沖縄店舗ではごまだれを提供している場合もありますが、それはチェーン基準であり、地域独自の味とはやや異なります。

ごまだれは本来、冷しゃぶや鶏料理にもよく合う万能調味料ですが、その濃厚さが「夏でも鍋を楽しむ」沖縄の食習慣にはやや重たく感じられることもあるようです。

また、地元では「酢＋塩＋柑橘」を組み合わせたタレ文化が強く、独自の発酵食品や泡盛ベースの調味料も発達しているため、ごまだれの必要性が薄かったと考えられます。

観光客向けのホテルブッフェや高級店では、ごまだれが用意されていることもあります。「観光客に合わせる」ための配慮です。しかし、地元密着型の店では「沖縄らしさ」を大切にして、ごまだれをあえて置かないこともあります。

そのため、「ごまだれ必須派」の方は事前に店の公式サイトやレビューで確認するのがおすすめです。

沖縄でしゃぶしゃぶを楽しむ際、ごまだれがないのは驚きではなく、むしろ地域の味文化に根ざした特徴です。

「ごまだれがない」ことも旅の一部として楽しみつつ、沖縄のしゃぶしゃぶの奥深さを味わってみてはいかがでしょうか？