なぜANAやJALの普通席でも無料ドリンクが出る？新幹線との違いと航空会社の狙いを解説

ANAやJALの国内線に乗ると、普通席でも無料のドリンクサービスを受けられるのが当たり前のように感じられます。なぜ飛行機では無料サービスが残っていて、新幹線では廃止されつつあるのでしょうか？この違いの背景には、航空業界特有の競争構造や顧客体験戦略があります。

航空会社が無料ドリンクを提供する理由

まず、ANAやJALが無料ドリンクを提供している背景には「サービス品質の維持と差別化」があります。特にLCC（格安航空会社）との価格競争が激化している中で、フルサービスキャリアとしての価値を実感してもらうために、小さな接客体験が重要になっています。

また、空の上では気圧の関係で体が脱水状態になりやすく、体調管理の面からも水分提供は合理的とされています。ANAの公式見解でも「快適な空の旅を過ごしていただくために水分補給を推奨」と説明されています。

新幹線では一部のグリーン車を除き、無料ドリンクサービスはありません。また、近年では車内販売も縮小され、利用者自身が飲食物を用意するスタイルが主流になっています。

その背景には、駅構内での豊富な飲食販売があり、車内でのサービス提供のコスト効率が悪化したこと、加えて無人運行・省人化の流れも影響しています。

飛行機では搭乗から降機まで乗客が「完全に管理された空間」にいるのに対し、新幹線では自由席や出入りの自由があり、全体的に“鉄道＝移動”という機能面が重視されています。

一方、航空機では「乗る前・乗ってから」の体験すべてがブランド価値の一部として扱われており、ドリンクサービスは小さくてもその印象を左右する要素なのです。

実際に「無料ドリンクがあるからANA/JALを選ぶ」という人は少なくありません。特に出張や短距離移動が多い人にとって、落ち着いたサービスと安心感がブランド選択の基準になるからです。

例えばANAではコーヒーの銘柄や提供温度にもこだわっており、期間限定で地域食材を使ったスープやジュースが出ることもあります。

コスト削減が進む中でも、無料ドリンクはブランド価値維持のための重要な接客要素として、多くの航空会社が重視しています。廃止すれば顧客満足度の低下やSNSでの評判悪化など、長期的にマイナス要素が大きいため、今後も継続される可能性が高いでしょう。

ANAやJALが普通席でも無料ドリンクを提供する理由は、単なる習慣ではなく「フルサービスキャリアとしての顧客体験価値」を守るためです。新幹線との違いは、移動手段としての性質やサービス提供構造の違いによるもの。

この違いを理解すれば、飛行機を選ぶ際の楽しみのひとつとしてドリンクサービスをさらにありがたく感じられるかもしれません。