ブエノスアイレスが『南米のパリ』と呼ばれる理由とは？建築・文化・歴史を徹底解説

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスは、しばしば「南米のパリ」と呼ばれます。この表現には単なるロマンだけでなく、歴史や文化的背景に裏打ちされた理由があります。この記事では、なぜブエノスアイレスがそのように称されるのかを探りながら、旅のヒントになる情報を紹介していきます。

パリを彷彿とさせる街並みと建築

ブエノスアイレスの中心部には、19世紀末から20世紀初頭にかけてのフランス風の建築様式が数多く見られます。アルゼンチンは当時、経済的繁栄を背景にヨーロッパから多くの建築家を招き、特にパリのエッセンスを取り入れた都市開発が進みました。

たとえば、コロン劇場（Teatro Colón）はその代表格。フランスやイタリアのオペラハウスに劣らない豪華な内装で知られ、世界的なオペラ歌手にも高く評価されています。

ブエノスアイレス市民（ポルテーニョ）は、食文化、ファッション、ライフスタイルにおいてもフランスやイタリアの影響を受けています。カフェ文化が根付いており、街角にはテラス席のあるカフェが多く、クロワッサン（メディアルナ）やエスプレッソを楽しむ風景はまさにヨーロッパの一コマのようです。

また、週末には広場でアコーディオンの音色が響き、タンゴを踊る人々が集まります。このような光景も、ヨーロッパ的な芸術性を感じさせます。

19世紀後半から20世紀初頭のブエノスアイレスは、移民ブームにより急速に都市化が進みました。当時のアルゼンチンは「南米の先進国」とも言われ、文化・芸術面でもヨーロッパを手本とした政策を積極的に導入していました。

特にフランス文化への憧れが強く、上流階級の間ではフランス語が日常的に使われるほどでした。そうした経緯が、今も街並みに色濃く残っているのです。

実際にブエノスアイレスを訪れた旅行者の多くが「ここが南米？」と驚くほど、街並みや雰囲気がパリを連想させると語っています。特にレコレータ地区やパレルモ地区は、おしゃれなブティックや美術館が点在しており、文化的な深みを感じさせます。

観光客の中には、「南米の混沌としたイメージと異なり、整った都市景観と芸術的な空気が心地よかった」という感想も多く寄せられています。

「南米のパリ」と言われるものの、当然ながらパリとまったく同じではありません。たとえば、治安の面では注意が必要なエリアもあり、夜間の一人歩きなどには慎重を期す必要があります。

また、フランスよりも物価が抑えめで、カジュアルに楽しめるのもブエノスアイレスの良さ。気取らずアートやグルメに触れられる点では、むしろ親しみやすさがあります。

ブエノスアイレスが「南米のパリ」と呼ばれるのは、単なるキャッチフレーズではなく、都市計画、文化、建築、生活スタイルのすべてにおいてフランス的要素を感じられるからです。異国の地でヨーロッパの雰囲気を味わいたい方には、まさに理想的な旅先といえるでしょう。

ブエノスアイレスでしか味わえないパリの空気を、ぜひ一度体感してみてください。