タクシー乗車時に、運賃やおつりとは別に「お小遣い」としてお金を渡された――。親切心や感謝の気持ちかもしれませんが、受け取る側としては戸惑いや不安を感じることもあるでしょう。今回はこうした状況における法的リスクや対応のポイントを解説します。
お金をもらった行為は違法なのか?
原則として、相手が自発的に金銭を渡したのであれば、受け取るだけで即違法になるわけではありません。ただし、それが業務上の地位を利用したものであった場合、会社の就業規則に抵触することはあり得ます。
例えばタクシードライバーが顧客にお金を渡す行為が、会社の規則に反していた場合、後からその事実が問題視される可能性はあります。ただし、そのようなケースであっても、受け取った側に強要や違法な誘導がなければ、法律上の罰則が課される可能性は極めて低いとされています。
刑法における「収賄」や「不正利得」との関係
一般人が金銭を受け取っただけでは、刑法の収賄罪には該当しません。収賄罪は公務員などに適用される犯罪です。民間人であっても「不正な利益を要求した」などがあれば話は別ですが、断った上で受け取ってしまった場合は、明確な違法性を問われることは基本的にありません。
ただし、もし何らかの「見返り」を求められていた場合や、金銭のやり取りに背景事情があると判断された場合には、不当利得や恐喝など別の法的論点が発生する可能性もあるため注意が必要です。
民事上のリスクは?後から請求される可能性について
仮に相手が「返してほしい」と後日主張した場合、民事上では「贈与か貸与か」が争点になります。金銭の授受が贈与(あげたもの)であると証明できれば返還義務はありませんが、「一時的に預けただけ」「貸しただけ」と主張されると返還が必要になる場合があります。
そのため、心配な場合は金額や状況をメモしておき、万一の時に説明できるようにしておくと安心です。
トラブル回避のために心がけたい対応
こうした金銭の受け取りについては、できるだけ丁寧に断るのが無難です。それでも断りきれなかった場合には、以下のような対応を心がけましょう。
- 渡された理由をその場で確認する(「お礼です」など)
- できれば第三者に相談・報告しておく(職場の上司など)
- 後からトラブルになった際に備えてメモや記録を残す
また、どうしても不安が残るようであれば、最寄りの警察署や法律相談窓口に相談するのも選択肢の一つです。
まとめ:感謝の気持ちとトラブル回避のバランスを
親切心や感謝で渡された金銭でも、受け取る際には慎重さが求められます。断ったうえで相手の意志で受け取った場合、法律的な問題になることは基本的に稀ですが、状況によってはトラブルになる可能性もあります。
そのため、金銭の授受に関しては断ることを前提にしつつ、受け取った場合は証拠や経緯を残すなど、後の不安を減らす工夫が大切です。安心して業務に臨むためにも、慎重な判断を心がけましょう。


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