近年では、高速道路のサービスエリア(SA)に一般道側からもアクセスできる施設が増えてきました。養老サービスエリアをはじめ、地域住民や観光客も利用できるように設計されたこれらの施設は、高速道路の運営方針の変化によって実現されたものです。本記事では、日本道路公団時代との違いや、サービスエリアが地域にもたらす新たな価値について解説します。
かつての日本道路公団とSAの閉鎖性
2005年まで高速道路の運営を担っていた日本道路公団(JH)は、通行料収入をもとにインフラ整備を進めることを目的としていました。そのため、サービスエリアはあくまで“高速利用者専用”とされ、外部からの出入りは想定されていませんでした。
例えば、2001年当時の養老SAにサーティワンが存在していても、一般道からアクセスする手段がなく、地域住民が立ち寄ることはできませんでした。
ネクスコ設立後の方針転換
2005年に日本道路公団が民営化され、NEXCO中日本・東日本・西日本が設立されると、収益性と地域連携を重視した運営へと方針が変わりました。
これにより、「ぷらっとパーク」や「ウェルカムゲート」と呼ばれる一般道側からの出入口が整備され、誰でも気軽にSAを利用できるようになったのです。
ぷらっとパークとは?
ぷらっとパークは、地域の住民や観光客が高速道路を利用せずにサービスエリア内の施設を楽しめるように整備された小規模駐車場と出入口のことです。
代表的な例としては、養老SA、海老名SA、刈谷ハイウェイオアシスなどが挙げられます。カフェ・レストラン・コンビニ・ご当地グルメ・ブランド店などが並び、地域の観光拠点にもなっています。
外部開放によるメリット
- 地域住民にとって便利な施設に:日常的な食事や買い物の場としても活用可能
- 事業者の売上向上:高速利用者以外の来客が増えることで販売チャンス拡大
- 地域との交流促進:地元特産品の販売や観光案内の設置など地域経済にも寄与
かつての閉鎖的なSAから、今では開かれた地域資源として生まれ変わっているのです。
事例紹介:養老SA(ぷらっとパーク)
養老サービスエリア(NEXCO中日本)は、ぷらっとパークが設置され、地元からもアクセス可能。フードコートにはサーティワンアイスクリームや地元グルメを扱う店舗が並び、観光施設のような賑わいを見せています。
高速利用者でなくとも気軽に立ち寄れることで、サービスエリアの新しい形を象徴しています。
まとめ:SAの未来は「地域と共に」
日本道路公団時代のサービスエリアは、あくまで“通過点”に過ぎませんでした。しかし、NEXCOの登場以降は、地域の玄関口として、そして日常に根ざす存在へと進化しています。
外部からアクセスできるSAの増加は、利用者にとっての利便性向上だけでなく、事業者や地域社会にとっても多くの恩恵をもたらしています。今後もこの流れは続き、サービスエリアは「地域と高速を結ぶハブ」として進化していくことでしょう。


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