地域活動やボランティアなどで「白ナンバーの車を使って無料で観光案内をする」取り組みが見られますが、このような行為は法律的に問題ないのでしょうか?この記事では、道路運送法をベースに、白ナンバーバスでの観光案内行為の適法性について具体的に解説します。
■白ナンバーバスとは何か
白ナンバー車とは、いわゆる「自家用車」に分類される車両のことで、営業目的ではなく私的利用を前提としたナンバープレート(白地に緑文字)です。
観光バスや送迎バスで見かける緑ナンバーは、国に営業許可を受けた「事業用」車両です。つまり、白ナンバーで人を乗せて“対価性のある行為”をすれば法律に触れる可能性があるのです。
■道路運送法で規制される“有償・無償”の違い
道路運送法では、無償であっても「反復継続して輸送サービスを提供」し、かつ「それが営利事業と見なされる」場合、事業用運送として扱われます。
つまり、「お金をもらっていない=合法」とは限らず、繰り返し不特定多数を乗せて観光案内を行う場合には、たとえ無料でも違法となるケースがあります。
■実例:ボランティアガイドや町内バスのケース
たとえば、観光地でよく見かける「無料の地元ガイド+送迎付き」のサービスについても、国交省が問題視し、一部地域では行政指導や指摘が入った事例があります。
逆に、町内会の行事などで“参加者全員が特定されており、単発の運行”という条件が揃えば、白ナンバーでも問題ないこともあります。
■行政が示すガイドライン
国土交通省では、「旅客自動車運送事業の許可が必要となる場合」の例として以下を示しています。
- 不特定多数を輸送する
- 反復・継続して運行される
- 広報・チラシなどで外部募集している
これらに該当する場合、たとえ「無料」でも事業運送と見なされる可能性があると明記されています。
■違法と判断された場合のリスク
無許可で人を乗せた輸送行為が違法と判断された場合、道路運送法第4条違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることもあります。
また、事故が起きた際には、任意保険の適用外とされるリスクもあり、金銭的な責任も重大になります。
■適法に観光送迎を行うには
- 緑ナンバー取得(一般乗用旅客自動車運送事業の許可)
- 自家用有償旅客運送制度(自治体が認定する交通弱者支援制度)を利用
- 団体専用車両で一時的・内輪利用に限定する
といった対策が挙げられます。
■まとめ
白ナンバー車を使った観光案内は、一見ボランティアでも内容や頻度次第で違法になるリスクがあります。
特に、不特定多数・継続的な輸送・チラシなどでの募集といった要素があれば、国交省の許可なしでは違法とされる可能性が高くなります。
地域貢献や観光活性化の取り組みでも、法律の枠を踏まえた上で、安全かつ適法な方法で実施することが求められています。


コメント