名古屋市営バスにおけるAT車の導入史と初期車両の情報まとめ

名古屋市営バスでは、近年AT（オートマチックトランスミッション）車の導入が進み、運転の負担軽減や安全性の向上に寄与しています。この記事では、その導入の歴史と初めて採用されたAT車について、過去の資料や事例をもとに詳しく解説します。

名古屋市営バスとAT車の関係性

AT車が名古屋市営バスに導入され始めたのは1990年代後半から2000年代初頭にかけてで、当初は運転技術への不安や整備体制の課題などから、導入は限定的でした。

しかし現在では、そのほとんどがAT車となっており、新人運転手でも安心して乗務できる環境が整っています。

名古屋市交通局が最初にAT車として導入したのは、1998年度に配備された日産ディーゼル製（現UDトラックス）のワンステップバス「KC-UA460KAM改」シリーズです。

その中でも、車両番号「N300号車」（当時の鳴尾営業所に所属）が、名古屋市営バスにおけるAT車導入の1号車とされています。この車両は、試験的導入として複数の営業所にて運用され、走行データが蓄積されました。

AT車の導入によって、発進・停止時の操作が容易になり、バス運転手の身体的負担が軽減されました。特に市街地走行やラッシュ時のストップ＆ゴーにおいて、効果が顕著です。

また、高齢者や女性運転手の増加を支える仕組みとしても評価されています。定年後の再雇用制度にも柔軟に対応できる車両設計になっています。

導入されたN300号車は、すでに運用終了・除籍されており、車両としては現存していません。しかし、当時の運用記録やファンによる撮影記録が一部保存されており、インターネット上で写真を確認できることもあります。

また、名古屋市交通局が主催する「市バス感謝デー」などのイベントでは、初期のAT車についての展示パネルや運転体験コーナーも用意されることがあり、往年のファンには貴重な場となっています。

現在の名古屋市営バスでは、AT車が主流で、主にいすゞ「エルガ」や日野「ブルーリボンII」、三菱ふそう「エアロスター」などが配備されています。

運行ルートに応じてノンステップやワンステップなども使い分けられており、高齢者・ベビーカー利用者にもやさしい設計です。

名古屋市営バスにおけるAT車の導入は、単なる技術革新ではなく、快適で安心な公共交通機関を提供するための重要な転換点でした。最初の1台として登場したN300号車は、その象徴ともいえる存在です。

今後も市営バスは技術の進化とともに、市民にとって利用しやすい存在であり続けることでしょう。