ヘリコプターが空中に浮かぶ仕組みには、航空力学に基づいた「揚力(ようりょく)」という力が関係しています。この記事では、ヘリがどのようにして宙に浮き上がるのかを、専門用語を噛み砕いてわかりやすく説明します。
揚力とは?飛行に欠かせない上向きの力
揚力とは、空気の流れによって物体が上向きに持ち上げられる力です。飛行機の翼やヘリコプターのローターがこの揚力を生み出すことで、重力に逆らって空を飛ぶことができます。
具体的には、ローター(回転翼)が高速で回転することによって、空気を下に押し出します。この空気の動きの反作用として、ローターには上向きの力(=揚力)が働きます。
メインローターの回転が生み出す下向きの風圧と反作用
ヘリコプターのメインローターが回転すると、ローターのブレード(羽)は空気を下向きに押しやります。これは「ダウンウォッシュ」と呼ばれ、プロペラから吹き下ろされる風のことです。
このダウンウォッシュが強くなるほど、反作用として上向きの揚力も強くなります。つまり、ヘリコプターはこの風圧による反作用によって機体を持ち上げているのです。
ベルヌーイの定理と揚力の関係
揚力の原理の一つとして「ベルヌーイの定理」があります。ローターが回転することで、ブレードの上面の空気の流れが速くなり、気圧が下がります。一方、下面の気圧は高くなるため、結果として上向きの力が生まれます。
これは飛行機の翼と同じ原理で、ローターにも「空気の流速の違いによる揚力」が働いているということです。
回転の速さと角度が揚力を左右する
ローターの回転速度が上がるほど、より多くの空気を下に押し出すため、揚力は増加します。また、ローターのブレード角(迎角)も揚力に大きな影響を与えます。角度を調整することで揚力の大小を自在に操ることができるのです。
パイロットはこのブレードの角度を操作して、上昇・下降・ホバリング(空中停止)などを行っています。
ホバリング時のバランスとテールローターの働き
ホバリング中は揚力が重力と釣り合っている状態です。ただし、メインローターの回転によって機体に回転しようとする力も発生します。この回転を打ち消すために、テールローターが横向きの力を加えてバランスを取っています。
このように、メインローターとテールローターは連携して、安定した飛行と停止を実現しています。
まとめ:ヘリコプターは空気の反作用で浮く
ヘリコプターは、メインローターの回転によって空気を下に押し出し、その反作用で上向きの揚力を得て機体を浮かせています。これは単なる風圧ではなく、物理法則に基づく「反作用」と「揚力」の複合的な働きによるものです。メカニズムを知ることで、ヘリの浮上がいかに理にかなった仕組みであるかがわかります。


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