ボーイング787型機(通称:ドリームライナー)は、次世代型の中・長距離旅客機として2011年に運用が開始されて以来、世界中の航空会社で使用されている機種です。炭素繊維強化プラスチックを多用した軽量構造や燃費性能が高く評価されている一方で、安全面に関する注目も集まり続けています。この記事では、ボーイング787の過去の重大事故履歴を振り返りつつ、エア・インディア便の事例が「初の墜落事故」にあたるのかどうかを詳しく見ていきます。
ボーイング787とは?特徴と運用実績
ボーイング787は、米ボーイング社が開発した中型のワイドボディ旅客機で、主に国際線中距離路線で活躍しています。特に以下のような特徴があります。
- 炭素繊維複合材を多用した軽量ボディ
- 燃費効率の高いエンジン(GEかRolls-Royce)
- 大型ウィンドウや静音設計など、乗客快適性の向上
世界中で1,000機以上が納入され、日本ではANAやJALなどが主要な導入事業者です。
過去の重大インシデントとトラブル履歴
ボーイング787は、墜落事故の発生こそないものの、過去にいくつかの重大トラブルを経験しています。
- 2013年 リチウムイオン電池の発火事故:ANAやJALの機体で相次いで発生し、FAA(米国連邦航空局)が一時的に運航停止を指示。後に改修済みのバッテリーモジュールへと対応。
- 2020年以降の製造品質問題:後部胴体の結合部分の不具合や、ドアのフィッティング精度に関する指摘が相次ぎ、一部機体の納入が停止される事態に。
- 軽微な接触・滑走路逸脱など:各国での運航中に軽度なインシデント(バードストライクや地上接触など)が報告されているが、いずれも致命的な事故には至っていない。
これらはいずれも整備や設計への教訓となり、メーカー・航空会社ともに改修や点検体制の強化を進めてきました。
エア・インディアの件は「初の墜落事故」なのか?
2024年〜2025年にかけて報道されているエア・インディア機のインシデントに関しては、現時点で「墜落事故」と確定されているものはありません(2025年6月時点)。
事故調査中の段階であり、「着陸時の損傷」「滑走路逸脱」「火災」「非常着陸」などの表現で報道されているケースが大半です。仮に将来的に墜落と認定された場合、それがボーイング787としての初の致命的事故(致死者を伴う墜落)となる可能性があります。
ただし、飛行中に完全に制御不能となり墜落したという報告は現在までに存在していません。
787の安全性はどう評価されているのか
航空機の安全性は「運航実績×重大事故件数」で評価されることが一般的です。その観点から見ると、ボーイング787は現在までに数百万フライトを達成しており、致命的事故ゼロという点で非常に高い安全性を誇っています。
また、ANA・JAL・カタール航空・ブリティッシュエアウェイズなど大手航空会社も長期的に運用を継続している点からも、業界内での信頼性は高いといえます。
まとめ|エア・インディアの事故は「墜落」確定ではなく、787は依然として高い安全性
現在報じられているエア・インディア便の事案は、公式な調査結果が出るまで「墜落」と断定することはできません。また、ボーイング787型機は、現時点で「致命的墜落事故ゼロ」の実績を保っている数少ない中型機種です。
今後も運航各社とメーカーの連携により、事故防止と安全向上の取り組みが継続されることが期待されます。


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