吉野ヶ里遺跡や釧路湿原が世界遺産候補に挙がらない理由とは?―選定基準と日本の現状を解説

観光地、行楽地

佐賀県の吉野ヶ里遺跡や北海道の釧路湿原は、それぞれ文化・自然の観点から高く評価されている日本の貴重な資産です。しかしながら、どちらも現在のところユネスコの世界遺産には登録されておらず、その候補にも名を連ねていません。その背景には、複雑な選定基準と国内外の事情が絡んでいます。

世界遺産の登録プロセスと日本の推薦枠

世界遺産に登録されるには、ユネスコの定める厳格な基準をクリアした上で、文化庁などを通じて日本政府が「暫定一覧表」に登録し、さらに推薦書を提出する必要があります。

日本からの正式推薦は年間1件までという制限があるため、国内でも推薦をめぐる競争が非常に激しく、全ての有力候補がすぐに推薦されるわけではありません。

吉野ヶ里遺跡が世界遺産候補に挙がらない理由

吉野ヶ里遺跡は弥生時代の大規模な集落跡で、日本の古代史研究にとって極めて重要な場所です。しかし、世界遺産の「顕著な普遍的価値(OUV)」を証明するには、単体の遺跡だけでは弱く、他の弥生時代遺跡と連携した『文化的景観』としての推薦が必要とされています。

また、既に「明治日本の産業革命遺産」や「百舌鳥・古市古墳群」などの文化遺産が続けて登録された背景もあり、吉野ヶ里への注目が後回しになっている可能性もあります。

釧路湿原が世界自然遺産に登録されない理由

釧路湿原は日本最大の湿原で、タンチョウなどの希少動物の生息地として国際的に重要です。実際、ラムサール条約には1980年に登録されています。

しかし、世界自然遺産の登録には「原始性」と「管理体制」が重視されます。釧路湿原はすでに観光開発や農業・治水事業の影響が部分的に見られるため、ユネスコの自然遺産基準との整合性に課題があると指摘されています。

他の候補地との兼ね合いと国の優先順位

世界遺産の推薦枠が限られる中、日本政府は時代的・地理的バランスを考慮しながら推薦候補を決定しています。たとえば、同じ地域から短期間に複数の推薦を出すのは難しいという方針も影響しています。

このため、吉野ヶ里や釧路湿原が「有力だが今は順番待ち」の状態にあるとも言えます。

今後の可能性と地元の取り組み

吉野ヶ里遺跡では、弥生時代の広域的な文化的景観の再構築を目指した活動が進んでいます。また、釧路湿原も持続可能な観光と自然保護の両立を重視した整備が進行中です。

こうした取り組みが実を結べば、いずれ両地域が正式に世界遺産候補として浮上する可能性も十分にあります。

まとめ

吉野ヶ里遺跡と釧路湿原が世界遺産に登録されていない理由は、単なる知名度や価値の問題ではなく、ユネスコの選定基準や日本の推薦体制、地域間のバランス調整など多くの要因が関係しています。今後の地元の保存活動や国の推薦方針次第では、両地域が世界遺産となる日も遠くはないかもしれません。

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