地域住民の足として期待されているコミュニティバスですが、「以前の方が便利だった」「なぜわざわざ不便に?」と感じている人は少なくありません。本記事では、その背景と仕組みを解説しつつ、どこに声を届ければ改善に繋がるかもご紹介します。
コミュニティバスの役割と運行の仕組み
コミュニティバスは、市町村などの自治体が運行主体であり、公共交通空白地の解消や高齢者の移動支援を目的としています。基本的に営利事業ではなく、赤字が前提で、税金によって補填される仕組みです。
例えば、ある地方自治体では1便あたりの利用者が数人であっても、高齢者の通院ニーズがあることから運行を継続しています。バス会社は委託を受けて運行しますが、利益が出るわけではありません。
「不便」になる背景には何があるのか
従来の民間路線バスが撤退した後、代替手段として始まることが多いコミュニティバスは、限られた予算と少人数の乗客を前提としているため、路線や本数、時間帯が限定的です。
「乗りづらい」「乗り換えが多い」「時間が合わない」といった声が多いのは、採算性と公共性のバランスの難しさから来るもので、わざと不便にしているわけではありません。
タクシーとバスの関係性
コミュニティバスが不便なためにタクシーを利用する人が増え、結果としてタクシー業界に利があるのでは?と感じるのは自然な疑問です。しかし、タクシーは基本的に民間事業者の裁量で運行されており、自治体が意図的に誘導しているわけではありません。
実際に、地方の自治体ではバスとタクシーの補完関係を模索しており、乗合タクシーやデマンド交通を導入しているケースも増えています。
改善に向けた声の届け方
コミュニティバスに関する改善を求める場合は、市町村の交通政策課や都市整備課などが主な窓口です。担当部署に連絡し、「地域公共交通会議」への提案や参加も視野に入れると良いでしょう。
メールよりも、具体的な要望を添えた文書提出や市議会の議員経由での働きかけが有効な場合もあります。市民の声が集まることで初めて、改善の検討が進むことがあります。
事例:改善に繋がった住民の声
長野県のある市では、「乗降場所が遠い」という高齢者の声を受け、コミュニティバスの停留所を50m単位で見直しました。このように、地域のニーズを丁寧に届けることで、柔軟な対応が実現するケースもあります。
また、京都府のある市では、住民参加型のワークショップでダイヤ改正を行い、利用率が上がったという報告もあります。
まとめ
コミュニティバスは、市民の声と行政の調整で成り立つ仕組みです。「不便さ」は決して意図されたものではなく、限られた資源の中で最大の効果を模索している結果とも言えます。改善には、具体的で継続的な要望の発信が必要です。ぜひ、担当部署や地域の議員へ声を届けてみてください。

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