飛行機や船、鉄道には見られない「制限速度」。一方、道路を走る車には細かく設定されています。これはなぜなのでしょうか?本記事では、交通機関ごとの運行環境の違いや、安全性・法制度の背景から、「なぜ車だけ制限速度があるのか?」という疑問に迫ります。
制限速度とは何か:道路交通法に基づく安全確保
制限速度は、日本の道路交通法で定められた「最高速度規制」であり、車両が道路上を走行する際の安全確保と事故防止のために定められています。
例えば市街地では30~50km/h、高速道路では100km/hが標準。これは歩行者、自転車、信号や交差点など「多様な利用者が混在する環境」に対応するためのルールです。
道路と他交通機関の根本的な違い
車が走る道路と、航空機・鉄道・船舶などの他の交通機関とでは、運行環境に決定的な違いがあります。
- 車:誰でも運転できる開放空間。歩行者や他車と交錯
- 航空機:高度な管制下。航空管制官の指示により分離
- 鉄道:線路上に列車しか走らず、ダイヤで管理
- 船舶:海という広大な空間で接触リスクが低い
このように、車は他者との物理的接近リスクが非常に高く、速度によっては死亡事故にも直結するため、制限速度が不可欠なのです。
航空・鉄道・船舶の「速度管理」はどうなっている?
航空機や鉄道には「制限速度がない」と思われがちですが、実際には速度に関する管理は存在しています。
例えば、航空機は航空管制のもと、進入速度や高度に対して細かい指示があります。また、機体ごとに耐空速度の上限が定められており、「マッハ0.85」などを超えると安全に支障が出るため、超えてはいけません。
鉄道も同様で、区間ごとに制限速度があり、ATC(自動列車制御装置)により管理され、速度超過時には自動ブレーキが作動します。つまり、「自由に出していい」わけではなく、制限の仕組みが別の形で存在しているのです。
実例:速度制限が命を救ったケース
たとえば、東京都内の幹線道路で実施された「制限速度50km/h→40km/h」の引き下げにより、歩行者の死亡事故が年間で30%以上減少したという調査結果があります(東京都交通安全白書より)。
また、高速道路での制限速度引き上げ実験では、十分な見通しと広さを確保した区間でのみ時速120kmまで許容され、安全性とのバランスが慎重に検討されました。
速度制限の国際的な背景と比較
実は世界中どの国でも、自動車には制限速度が存在します。ドイツのアウトバーンは一部で「無制限」とされていますが、「推奨速度130km/h」という事実上のガイドラインがあり、事故時の過失割合にも影響します。
日本でも、自動車は個人が運転する身近な交通手段であり、生活空間に直結する存在だからこそ、速度規制が厳格に設けられているのです。
まとめ:制限速度があるのは「事故から命を守るため」
航空機や鉄道、船舶なども速度に制限が全くないわけではありませんが、それらは専門機関による管理のもと運行されています。
一方、道路交通では運転者が一般人であり、不確定要素の多い交通環境を考慮して、明確な制限速度が必要なのです。速度制限は、単なる「邪魔なルール」ではなく、「すべての人の命を守るための仕組み」だと言えるでしょう。

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