道路の幅員は交通安全や都市計画に密接に関係する重要な要素ですが、都市部や旧来の集落では「幅員4m未満の市道」が存在することも少なくありません。今回は、市道認定と幅員要件の関係、そして現実に4m未満の市道がなぜ存在するのかを分かりやすく解説します。
市道とは?基本的な定義と認定基準
市道とは、地方自治体が管理する道路で、一般交通のために提供される公共の道路です。市道として認定されるためには、一般的に「道路法に基づく認定手続き」が必要であり、その際には交通量・幅員・接続状況など複数の項目が基準になります。
特に新たに認定される道路においては、「原則として幅員4m以上」が求められるのが一般的です。これは歩行者と車両の通行確保、緊急車両の進入、景観や防災などの都市計画上の観点から決められています。
なぜ4m未満の市道が存在するのか?
最も多い理由は「旧来からの道路がそのまま認定されているケース」です。道路法が整備される以前から存在した道路や、昭和時代の急速な都市化に伴って既に使用されていた道が、市道として認定された例が全国に多数あります。
これらの道路は、整備当時の基準や地形条件、既存の建築物の配置などからやむを得ず幅員が狭く、現行基準に合致しないものの「既得道路」として例外的に扱われているのです。
実例:都市部や山間部に多い4m未満の市道
例えば、東京都内の一部下町エリアや、京都の町家が密集する区域などでは、幅2m〜3.5mの市道が数多く存在します。これは、戦後復興時に暫定的に整備された路地や、町割りに沿って自然に形成された小道が背景にあります。
また、山間部や農村部では、生活道路として昔から利用されてきた狭小道路が、地元自治体の管理に移行する過程で市道認定されているケースもあります。
市道の幅員と建築基準法との関係
建築基準法では、接道義務として「建築物は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という原則があります。しかし、幅員が4m未満の道路に接する敷地でも、セットバック(敷地の一部を道路に提供)により建築許可が下りる場合があります。
このような道路は「42条2項道路」とも呼ばれ、建築行為とセットで徐々に4mの幅員を確保していく仕組みが用意されています。
市道として認定されない「認定外道路」との違い
幅員が狭いからといってすべてが市道ではないわけではありません。逆に、未整備で幅員が十分でも「認定外道路」として扱われる場合もあります。これは、土地所有や管理責任が明確でない道路や、個人・法人所有の私道などが該当します。
そのため、幅員の有無だけで市道認定の可否を判断するのではなく、沿線住民の合意、用途、接続状況、過去の履歴などが重要視されるのです。
まとめ:4m未満の市道は例外的に存在するが、都市計画的には縮小傾向
幅員4m未満の市道は、制度が整備される前から存在した旧来の道路が多く、今日でも都市部や山間部で実際に見られます。しかし今後は、防災・安全・利便性の観点から、4m以上の道路整備やセットバックが進められる見込みです。
そのため、幅員や認定状況について疑問がある場合は、市役所の道路課や都市整備課に確認するのが確実です。

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