温泉と聞くと“源泉かけ流し”が理想と思われがちですが、全国の温泉施設の多くは“循環式”を採用しています。では、循環している温泉は成分が薄まったり、時間の経過でお湯の質が下がるのでしょうか?この記事では、循環式温泉の仕組みと成分の変化について、わかりやすく解説します。
循環式温泉とは?基本的な仕組み
循環式温泉とは、浴槽内のお湯をろ過・加温・消毒しながら再利用する方式です。温泉水を一度使ったら捨てるのではなく、機械でろ過し、再度浴槽に戻します。
この方法は、大量の温泉水を確保できない施設や都市型の温泉施設で多く採用されています。ろ過装置により衛生面を保ちつつ、一定の湯量と温度を維持できるのがメリットです。
温泉成分はどのように変化する?
温泉には「泉質」と呼ばれる成分が含まれていますが、時間が経つと以下のような変化が起こります。
- 炭酸ガスや硫化水素などの揮発性成分は空気中に飛びやすく、浴槽内に留まりにくい
- 加水やろ過処理によってミネラル濃度が若干低下する
- 塩素消毒により一部の有機物や微量成分が失われる可能性がある
ただし、これらの成分変化は使用する源泉や管理方法、ろ過の頻度によっても異なります。
どれくらいで「普通のお湯」に近づくのか?
「普通のお湯」になるかどうかは、泉質と施設の運営方針次第です。例えば、硫黄泉や炭酸泉のように揮発性成分が主な効能を持つ場合は、循環を続けるとその特徴が薄れることがあります。
一方で、ナトリウム泉や塩化物泉などは比較的成分が残りやすく、循環していても一定の効果が持続するケースも多いです。
循環温泉でも“温泉”と呼べる理由
日本の温泉法では、「温泉」と名乗るために地中から湧出し、25℃以上か特定の成分を一定量以上含む水であればOKとされています。そのため、循環式でも源泉を使用していれば「温泉」として認められます。
ただし「加水」「加温」「循環」「消毒」の有無は明示義務があるため、施設の掲示や公式サイトをチェックすると情報が得られます。
成分を保ちやすい循環方法もある
最近では、温泉成分をできるだけ残す工夫をしている施設もあります。たとえば。
- 循環はするが加水はしない
- 低温源泉を加温せずにそのまま利用
- 定期的に浴槽の湯を全入れ替え
こうした努力により、循環式であっても「泉質重視」の温泉を提供する施設も増えています。
まとめ:循環式でも入る価値はある
確かに、源泉かけ流しの方が温泉本来の成分をそのまま楽しめるメリットがあります。しかし、循環式温泉も衛生管理や湯温の安定といった点で優れており、すぐに成分がすべて失われて“普通のお湯”になるわけではありません。
選ぶ際は泉質表示や施設のポリシーを確認し、自分の求める温泉体験に合った場所を選ぶのがおすすめです。

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