旅番組で温泉を悪く言わないのはなぜ？テレビ演出の裏側と温泉紹介の実態

旅番組では各地の魅力を伝える中で、温泉が紹介されることも多くあります。しかし、視聴者の多くが「悪い温泉評価を聞いたことがない」と感じるのも事実です。この記事では、テレビで温泉が「いいお湯」と表現される理由や、メディア演出の舞台裏を探ります。

旅番組で温泉を褒めるのは当たり前？

多くの旅番組では、温泉の紹介において必ずといっていいほど「気持ちいい」「柔らかいお湯ですね」「肌がすべすべになりますね」などのポジティブなコメントがされます。

これは単に出演者の主観ではなく、番組構成上、観光地の魅力を伝えることを目的としており、批判的なコメントは控えるのが通例となっているからです。

旅番組の多くは自治体や観光協会、または観光施設が制作費の一部を負担する「タイアップ型」になっていることがあります。こうした場合、出演者やナレーションで否定的なコメントを入れることは放送局の方針としてNGとされることがほとんどです。

そのため、たとえお湯が特徴に欠けたり、施設に古さを感じたりしても、「歴史ある湯」「レトロな雰囲気」といった言い回しでポジティブに変換されて紹介される傾向があります。

テレビで温泉が「悪く紹介されない」のではなく、「紹介されない」ことがほとんどです。番組制作時点で、事前のロケハンにより選定された温泉地・施設が選ばれ、演出に向かないと判断された場所は候補から除外されます。

実際にテレビで紹介される温泉は、泉質・景観・設備・アクセス・話題性など複数の条件をクリアしていることが多く、自然と“はずれ”が排除された結果といえるでしょう。

一方、バラエティ番組やYouTubeなどでは忖度なしのレビューも増えています。個人の旅動画や温泉レビューチャンネルでは「ぬるすぎる」「塩素が強い」「循環式で鮮度が低い」といったリアルな評価も見受けられます。

情報の公平性を求める視聴者は、テレビの旅番組だけでなく、個人の体験ブログや動画も併せて参考にすると、より正確な温泉情報を得ることができるでしょう。

旅番組は「癒し」や「非日常感」を届けるため、基本的にはポジティブな雰囲気が求められます。そのため温泉だけでなく、料理や接客、観光施設の紹介も含めて否定的な内容が排除されているのが現実です。

視聴者としては「すべてを鵜呑みにせず、演出の一環である」と捉え、複数の情報源をもとに旅行計画を立てるのが賢いアプローチです。

テレビの旅番組で「いいお湯しか紹介されない」のは、視聴者を楽しませるための編集方針とスポンサー・地域への配慮が背景にあります。

本音レビューを求めるなら、個人ブログやSNS、動画サイトのリアルな体験談も参考にしながら、旅先を検討するのがおすすめです。