ベトナムと日本における家族観の違いとその背景とは？文化的価値観を比較する

国が異なれば文化も価値観も違うのは当然ですが、家族という身近な単位においてもその違いは顕著です。特にベトナムと日本では、家族に対する考え方や役割意識に違いがあります。この記事では、両国の家族観の違いに焦点を当て、その背景や特徴を具体例を交えて比較します。

家族観に表れる文化の違い

日本では、個人主義が徐々に進んできた背景もあり、核家族化が進行しています。親子であっても「自立」が重視され、子供が成人すれば独立して暮らすのが一般的です。

一方、ベトナムでは伝統的な儒教の影響が強く、家族単位での団結や年長者への敬意が深く根付いています。3世代以上の大家族で暮らすことも珍しくありません。子供が独立しても親の面倒を見たり、経済的支援を続けたりするのは当然と考えられています。

日本の親子関係では、一定の距離感と自主性が重視されます。親は子供に過干渉せず、子供の意思を尊重する傾向があり、親の老後は公的制度や介護施設に頼るケースも増えています。

ベトナムでは、親子関係は非常に密接です。子供は親に対して強い忠誠心を持ち、日常生活のなかでも助け合いが重視されます。また、親の面倒を見ることは「道徳的責務」として位置づけられており、文化的に非常に重要な要素です。

日本では「熱血漢＝感情を表に出す人物」としてのイメージがあり、家族内でもあまり感情を強く表現することは少ない傾向にあります。親子間の愛情表現も比較的控えめです。

しかし、ベトナムでは家族に対して非常に感情豊かに接することが一般的で、言葉や行動で愛情を表現する「熱血」な側面が強く見られます。特に祝い事や困難時には家族が一致団結し、積極的に助け合う姿勢が強調されます。

ベトナムでは、家族間の経済的支援が日常的に行われています。都市部で働く若者が地方の家族に仕送りをする、あるいは兄弟姉妹が学費を出し合うといったケースは一般的です。

日本では経済的にはそれぞれの家庭が自立するスタイルが多く、仕送りなどは一部の状況を除いて少なくなってきている傾向があります。家族に対する経済的義務よりも、個々の責任が優先される文化が見られます。

ベトナムでは旧正月（テト）や祖先祭など、家族が一堂に会する行事が多数存在し、それらの準備や儀式には家族全体が関わります。これは家族のつながりを強化する重要な機会とされています。

日本でもお盆や正月には帰省文化がありますが、近年ではその頻度が減少傾向にあり、家族行事への関与は以前に比べて希薄になってきています。

ベトナムと日本の家族観は、文化や歴史的背景に基づく違いが大きく表れています。ベトナムの「熱血」な家族の在り方は、絆の強さや感情の豊かさが特徴です。一方、日本では個人の自立を尊重した静かな家族関係が主流です。

それぞれの文化に優劣はなく、異なる価値観を知ることで相互理解が深まります。これから国際的なつながりが増える中で、お互いの家族観を尊重し合うことが、より良い共生の第一歩になるでしょう。