街中でタクシーを利用しようとした際に「素通りされた」と感じる経験は少なくないかもしれません。ときにそれが「乗車拒否だ」と問題視されることもありますが、実際にすべてが違法なのでしょうか?本記事では、法律的な乗車拒否の定義と、運転手側の正当な事情、そして利用者として知っておきたい対応策をわかりやすく解説します。
そもそも「乗車拒否」とは?
乗車拒否とは、タクシーが正当な理由なく乗車の申し出を断ることを指します。道路運送法第13条により、正当な理由なく乗車を断ることは原則として違法行為となります。特に「空車」表示がされている状態で、客を明確に見た上で無視した場合、乗車拒否と判断される可能性が高くなります。
一方で、運転手の体調不良や休憩時間、勤務時間終了など、明確な業務上の理由がある場合は「正当な理由」とされ、違法とはなりません。
空車ランプがついていても必ず乗せなければいけないのか?
実際には、乗務員が営業中に一時的な用事(トイレ、食事、会社への戻りなど)で空車ランプをつけたまま走行してしまうケースもあります。この場合、見た目には空車でも営業実態が伴っていないため、乗車拒否とは言い切れません。
例えば、コンビニの駐車場に入ろうとしていたタクシーが手を挙げた客を通過した場合、それは「乗車拒否」ではなく、正当な理由があるケースと考えられます。ただし、ドライバーにはランプの切り替えを確実に行う義務も求められます。
具体例:素通りされた体験とその背景
たとえば新宿で夜10時頃にタクシーを拾おうとしたAさん。空車のランプがついているタクシーに手を挙げたものの、そのまま通過されました。しかしその後のタクシー配車アプリで確認すると、その車両は「予約対応中」となっていました。このように、見た目とは違う営業状況もあるため、乗車拒否とは限りません。
別のケースでは、Bさんが渋谷でタクシーを止めようとしたが、空車でスピードを上げて無視されたとのこと。これは明確な拒否行動と判断され、タクシーセンターに通報し、後日運行会社に指導が入ったという事例もあります。
乗車拒否を受けたと感じたら
「これはおかしい」と思ったら、ナンバープレート・会社名・時刻・場所を控えて、地域のタクシーセンターへ報告しましょう。東京23区であれば「東京タクシーセンター」、大阪なら「大阪タクシー協会」が対応窓口です。
また、国土交通省のサイトからも苦情の申請が可能です。証拠としてスマホで動画や写真を撮っておくと、対応がスムーズになる場合もあります。
ドライバー側の正当な拒否理由とは?
- 健康や安全上の理由(トイレ休憩、体調不良など)
- 勤務時間の終了(営業所への帰庫が必要な場合)
- すでに無線配車やアプリ配車の予約が入っている
- 客が酩酊状態で危険と判断した場合
これらはいずれも乗務員にとって必要な行動であり、乗車拒否には該当しません。
タクシー利用時の心構えとトラブル回避法
急いでいるときほどイライラしてしまいがちですが、まずは冷静に状況を見極めましょう。タクシー配車アプリを併用することで、乗車拒否によるストレスを軽減できます。また、深夜や繁忙期には「回送」や「予約済」表示の車両が多くなることを理解しておくと、無駄なトラブルを防げます。
さらに、アプリ配車では乗務員のレビューや対応品質が確認できるため、より安心して利用できます。
まとめ|乗車拒否は状況判断が重要
タクシーの「素通り」がすべて乗車拒否とは限らず、正当な理由がある場合も多いというのが現状です。ただし、明らかに客を見て無視した場合や、説明がつかない拒否は問題となり得ます。
タクシー側・利用者側の双方に理解とマナーが求められる時代。気になる対応があれば、冷静に記録を取り、正規の窓口で対応を依頼するのがトラブルを防ぐ第一歩です。


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