一般の旅行者とは異なり、航空会社の乗務員や貨物船の船員などは特殊な国際ルールのもとで各国に出入国します。彼らには、通常の観光ビザや申告書とは異なる「乗務員専用の手続き」が用意されています。
乗務員はなぜ特別な入国制度があるのか
航空機や船舶の乗務員は、業務の性質上、頻繁に国境を越えます。そのため、一般の入国審査とは別に、「乗務員特例措置」が国際的に設けられており、迅速に業務に従事できるように配慮されています。
この制度は国際民間航空機関(ICAO)や国際海事機関(IMO)のガイドラインに準拠し、多くの国で採用されています。
航空会社の乗務員に適用される入国手続き
航空会社の乗務員は、通常の入国手続きとは別に、「搭乗員名簿(Crew Manifest)」と呼ばれるリストに基づいて入国・出国します。
たとえばJALやANAの乗員は、勤務フライトごとに会社があらかじめ目的地の入国管理に通知を行い、入国許可が事前に得られているため、ビザや入国カードの提出は原則不要です。
貨物船の船員は「船舶乗組員上陸許可」などを利用
船員についても、「乗組員上陸許可」という制度があり、船会社から提出された乗組員名簿を基に入国が許可されます。
ただし、業務上の上陸と、私的な観光目的の上陸は制度が異なります。たとえば、買い物や観光のための上陸には別途短期滞在許可が必要となる場合があります。
日本における運用例
日本では出入国管理及び難民認定法に基づき、外国籍の乗務員でも「乗員としての入国」は特例措置が適用され、事前のビザは不要とされています。
例えば関西空港や羽田空港では、乗務員用の特別レーンが設けられ、通常の乗客と分けて入国審査が行われます。
特別措置のメリットとリスク
こうした制度は、グローバル物流や航空輸送の円滑化に大きく貢献しています。一方で、テロや不法入国のリスクもあるため、各国は信頼性の高い航空会社・船会社としかこの仕組みを適用していないのが実情です。
そのため、会社側の信頼性や過去の運用実績も、特別入国の適用条件になっているケースが多いです。
まとめ:乗務員や船員の入国は“国際的に認められた特例”
航空会社の乗務員や船員は、業務上必要とされる国際ルールに基づき、通常とは異なるルートで入国します。
事前に会社が名簿を提出し、入国許可を受けることで、ビザや申告書を省略できる制度が多くの国で運用されています。
この特例措置は国際物流と交通の効率性を支える重要な制度であり、厳格な管理のもと運用されています。


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