九州の中でも存在感のある都市・鹿児島市。しかし、他の主要都市と比較しても高層ビルや超高層建築物がほとんど見られないことに気づく人も多いでしょう。その背景には、いくつかの興味深い理由があります。
地理的・地質的な理由:桜島と火山灰の影響
鹿児島市のシンボルといえば桜島。活火山であるこの山は、日常的に火山灰を降らせています。この火山灰はビルの外装や機械にダメージを与えやすく、メンテナンスコストが高くなる傾向にあります。
また、桜島の活動に起因する地震リスクも無視できません。超高層ビルは高度な耐震設計が必要となるため、建設コストが割高になることが多く、開発の抑制要因となっています。
経済規模と不動産需要のバランス
福岡市や熊本市と比べると、鹿児島市のオフィス需要や人口集中度は控えめです。高層ビルを建てるには継続的な賃貸需要や投資回収の見込みが必要ですが、それを満たす経済環境ではないと判断されるケースが多いのです。
地元企業の多くが自社ビルや低層オフィスで事足りており、わざわざ高額な高層ビルに移転するメリットが薄いという現実もあります。
都市計画と景観重視のまちづくり
鹿児島市では「景観保護」や「歴史的資源の保存」も意識された都市計画が行われています。桜島や錦江湾を一望できる景観を守るために、高さよりも街全体の調和を重視する方針が採られている傾向にあります。
その結果、観光資源としての価値を維持しつつ、住民にとっても過ごしやすい街づくりが進められてきました。
高層ビルの代わりに見られるまちの発展形態
鹿児島市では、都市の成長を高層化ではなく「面的拡大」や「再開発エリアの整備」で実現しています。例えば、鹿児島中央駅周辺では商業施設や中層ビルの新築が続き、都市機能の集約が進んでいます。
このように、必ずしも超高層ビルが都市発展の象徴ではないという考え方が根底にあるようです。
事例比較:熊本市との違い
熊本市は2016年の地震以降、復興支援も相まって再開発が進みました。また、交通の要衝としての役割も強く、ビジネス需要も相対的に高いため、高層建築が受け入れられやすい土壌が整っています。
一方で鹿児島市は、観光や地場産業を中心とする生活志向の強いまちであり、都市設計にもその違いが現れています。
まとめ
鹿児島市に高層ビルが少ないのは、法律による規制ではなく、火山活動によるリスク、経済規模、景観重視の都市政策など、複合的な理由によるものです。超高層化だけが都市の発展を示すものではなく、鹿児島市はその地域性を活かした「らしさ」のある街づくりを続けているのです。


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