大阪市外の豊中市や東大阪市などは人口も多く住宅地として発展しているエリアですが、大規模な商業施設が少ないと感じる人も多いでしょう。なぜこのような傾向があるのかを、大阪の都市構造や歴史的背景、東京との比較を通して解説します。
大阪は“中心集中型”都市構造が特徴
大阪市は梅田・なんば・天王寺といった巨大な商業エリアが市内中心部に集中しており、これが中心集中型の都市構造を形作っています。交通インフラも都心へのアクセスを重視して発展してきたため、郊外には自然と商業集積が生まれにくくなっています。
例えば、豊中市や東大阪市から大阪中心部までは電車で20〜30分程度と近く、住民が都心部で買い物や娯楽を楽しむスタイルが定着しています。
東京は“多核型”で副都心が多数存在
一方で、東京は新宿・渋谷・池袋・品川・立川・吉祥寺など多くの副都心を持つ“分散型(多核型)”の都市構造が特徴です。これにより、郊外の自治体であっても商業施設や文化施設が発展しやすい土壌があるのです。
立川市(人口18万人)には「ららぽーと立川立飛」や「伊勢丹立川店」があり、駅前一帯に百貨店・大型専門店が揃っています。これは都市計画と交通網の戦略の違いによるものでしょう。
大阪市外に商業施設が少ないのは住宅都市化が理由?
豊中市や東大阪市は、大阪市中心部への通勤を前提とした住宅都市として発展してきました。これは戦後のベッドタウン化や都市開発の影響によるもので、「住宅地+中小工場エリア」としての性格が強く、商業開発よりも居住環境の整備が優先されてきた経緯があります。
また、都市計画上も商業ゾーンの指定が少なかったり、大規模開発が難しい土地利用の制約も存在します。
逆に郊外でも商業施設が発展している例
もちろん例外もあります。例えば、吹田市の「EXPOCITY」は郊外型の巨大複合施設として成功を収めています。また、八尾市の「アリオ八尾」なども地域住民の商業需要に応えています。
これらの共通点は「交通の要所である」「十分な敷地と集客が見込める」「市の主導で開発が進んだ」という点です。つまり、市外でも戦略次第では商業施設の成功は可能です。
今後の再開発と郊外の活性化の動向
最近では、万博やIR誘致に関連して大阪府全体の再開発が進められており、郊外エリアへの波及効果も期待されています。特に鉄道新線や高速道路整備と連動するエリアでは、新たな商業拠点の創出が予想されます。
豊中市でも千里中央駅周辺再開発の動きがあり、今後は「職住近接」+「買い物・娯楽」も提供できるまちづくりが進む可能性があります。
まとめ|大阪市外の商業施設の少なさは都市構造がカギ
大阪市外に大型商業施設が少ない理由は、中心集中型の都市構造、住宅地としての性格、そして過去の都市計画にあります。
- 大阪は都心に商業が集中する構造
- 東京は多核型で副都心が多数ある
- 住宅都市化と工業地帯としての歴史が影響
- 再開発次第で郊外も変わりうる
今後の都市政策や交通整備とともに、郊外のまちづくりの行方にも注目です。


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