通勤や通学で日常的に利用している総武線。その中でもE231系500番台に乗車した際、「シュッ シュッシュッ」という特徴的な音が加速とともに聞こえた経験がある方も多いのではないでしょうか。この不思議な音の正体について、鉄道車両の構造とともに詳しく解説します。
音の正体は「インバータ制御」の作動音
この「シュッシュッ」という音は、主にVVVFインバータ(Variable Voltage Variable Frequency:可変電圧可変周波数)制御装置が原因です。E231系は電力消費の効率化を図るため、VVVFインバータによってモーターを制御しています。
モーターに送る電力の周波数を変えることで加速を調整しますが、この周波数の変化が「シュッシュッ」というような高周波音として耳に届くのです。
E231系500番台ならではの音の特徴
総武線などで使われているE231系500番台は、三菱電機製のGTO素子やIGBT素子を採用しています。特にGTO型は古いタイプで「音が独特」と言われる理由のひとつです。
加速するたびに「シュッシュッシュッ…」とテンポが速くなるのは、周波数が上昇していくから。これは機械的なノイズではなく、制御の副産物とも言える現象です。
実際にどこで聞こえる?
VVVF音は主にモーター付きの車両(主に1号車や10号車など)で聞こえやすく、特に静かな駅の発車直後やトンネル内では響きやすくなります。
鉄道ファンの中にはこの音を録音して楽しむ「音鉄」も多く、E231系の音色はファンの間でも人気があります。
他の鉄道車両との違い
たとえば京浜東北線のE233系では、より静かな最新型のVVVF装置が使われており「音が少ない」「高音が抑えられている」と感じる人もいます。E231系は「走行音が個性的」であるため、聞き分けの対象にもなりやすいのです。
東急電鉄や京急などの車両では、また別の制御方式が採用されているため、「ギュイーン」「ビィー」という異なる音を聞くことができます。
まとめ:鉄道の“走行音”は機械の個性
「シュッシュッ」という加速音は、異常音ではなくE231系に搭載されたインバータ制御装置による正常な音です。鉄道の安全性や性能を高めるための技術が生み出した“音の個性”とも言えるでしょう。
電車の音に注目すると、いつもの通勤・通学が少し楽しくなるかもしれません。 鉄道ファンならではの楽しみ方として、ぜひ耳を澄まして聞いてみてください。

コメント