戦闘機が離陸後に急激な上昇を行う様子は、航空ファンにとって見逃せないシーンの一つです。中でも「バスタークライム(buster climb)」と「ゲートクライム(gate climb)」という言葉は、航空自衛隊や米軍機の訓練や実戦でも使われる専門的な上昇方式です。これらは単なるかっこいい動きではなく、目的や状況によって使い分けられる戦術的な手法です。
バスタークライムとは何か?
バスタークライムは、アフターバーナーを使用して最大速度に近い状態で水平飛行し、そのまま上昇に転じる方法です。「buster」とは軍用機における最大持続出力(maximum continuous speed)を意味します。
燃料効率は劣るものの、短時間で高度を稼げるため、急ぎの迎撃や戦術展開において使用されます。エンジンへの負荷はゲートクライムよりも抑えられる場合もあり、任務の性質に応じて選ばれます。
ゲートクライムとは何か?
ゲートクライムは、アフターバーナー全開で最大加速状態(通称「ゲート」)から即座に上昇に移行する方式です。これはエンジンに最大負荷をかける状態であり、短時間で最速の上昇が可能です。
「ゲート」は一種の緊急出力モードで、戦闘開始直後の回避機動や、敵レーダーからの離脱を図る際などに使用されます。ただし、エンジンへの負担が大きく、継続使用は制限されます。
2つのクライムの違いを比較
| 項目 | バスタークライム | ゲートクライム |
|---|---|---|
| 出力レベル | 最大持続出力 | 最大緊急出力(アフターバーナー全開) |
| 燃費効率 | やや良い | 非常に悪い |
| エンジン負荷 | 中〜高 | 極めて高い |
| 使用目的 | 迅速な離陸・迎撃 | 緊急回避・即応展開 |
このように、同じ「急上昇」でも意味合いが大きく異なります。
実例:F-15戦闘機の上昇モード
航空自衛隊のF-15Jは、バスタークライムを多用することで知られています。離陸後にアフターバーナーを活用しつつも、エンジンへの負担を抑えて上昇する様子は、航空祭などでも披露される見どころです。
一方、米空軍が実戦訓練で用いるF-22やF-35では、ゲートクライムによる超音速遷移やステルス離脱など、より攻撃的な動きが選ばれる場面もあります。
どちらが優れているのか?
優劣の問題ではなく、任務内容・状況・機体性能に応じて使い分けることが重要です。例えば、味方機の支援が必要な局面では迅速に高度を取りたいのでバスタークライム、緊急の回避機動や敵制空権下での迅速な脱出にはゲートクライムが選ばれます。
まとめ:戦術的な意味を知ることで航空機の動きが面白くなる
戦闘機のクライムには明確な戦術的意味があります。「バスタークライム」は計画的な急上昇、「ゲートクライム」は瞬間的な最大上昇という特徴を持ち、どちらも空中戦における生存率を高めるための重要な手段です。
航空祭やドキュメンタリー映像を見る際にも、この知識があると機体の動きがより興味深く見えてくることでしょう。


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