鹿児島駅と鹿児島中央駅の立場逆転の歴史とその背景をひもとく

鹿児島市内には「鹿児島駅」と「鹿児島中央駅（旧・西鹿児島駅）」という2つの主要駅があります。かつては市名を冠する鹿児島駅が中心とされていましたが、現在では完全に鹿児島中央駅が中核を担っています。本記事では、両駅の歴史とその立場の逆転がいつ起きたのかを解説しつつ、都市発展との関係性を探っていきます。

鹿児島駅の開業と市の玄関口としての時代

鹿児島駅は1901年に開業し、明治時代から昭和初期にかけては鹿児島市の代表駅として機能していました。鹿児島港にも近く、鉄道と海運を結ぶ交通の要所でもありました。

また、鹿児島市電の起点もかつては鹿児島駅に近接しており、観光や物資の流通もここからが主流だった時期も存在します。

1927年に開業した西鹿児島駅は当初、重要性はそれほど高くありませんでした。しかし時代とともに駅周辺が都市化し、1970年代には高速道路や国道3号線とのアクセスの良さから商業・交通の結節点として発展を見せ始めます。

特に鹿児島交通センター（現在のバスターミナル）やアミュプラザ鹿児島の開業などが後押しし、都市の重心は次第に西鹿児島駅側へと移行していきました。

両駅の立場が決定的に逆転したのは、2004年に九州新幹線が部分開業し、西鹿児島駅が「鹿児島中央駅」に改称されたことが大きな転機でした。新幹線の終着駅としての機能を担うことになり、全国からのアクセスが集中することになります。

その後、駅周辺は再開発が進み、鹿児島中央駅前はオフィスや観光施設が立ち並ぶ鹿児島市の中核エリアとして定着しました。

現在の鹿児島駅は、市の東側・港湾エリアに位置しており、ローカル線や一部通勤通学利用者にとっては重要な拠点であるものの、都市の中心的役割は果たしていません。

ただし、鹿児島港や桜島フェリー乗り場に近く、観光の一端を担っている側面は今も健在です。地域住民からの親しみも根強く、「東の玄関口」として一定の存在感を保っています。

鹿児島中央駅は現在、商業施設・ホテル・市電・高速バスなど、あらゆる交通・観光インフラが集中する拠点駅となっています。九州新幹線だけでなく、在来線・市電・バスターミナルも集結し、まさに鹿児島の顔とも言える駅に成長しました。

駅周辺の発展は今も続いており、新たな再開発や複合施設の建設も進行中です。

鹿児島駅と鹿児島中央駅の立場が逆転した背景には、都市の拡張、新幹線の開業、交通インフラの集中といった多様な要因が絡んでいます。特に2004年の鹿児島中央駅改称と新幹線開業が転換点であり、それ以降は完全に中枢機能が移行しました。

今後も両駅は、それぞれの役割を分担しながら、鹿児島の交通と観光の一翼を担っていくことでしょう。