なぜ「乗客数は予想の半分」でも列車が混雑するのか?鉄道需要の誤解を解く

鉄道、列車、駅

新線開業後、「予測乗客数の50%しか利用していないはずなのに混雑している」という現象が話題になることがあります。一見矛盾しているように思えますが、実はこの現象には明確な理由があります。本記事ではその背景をわかりやすく解説し、なぜ混雑が起きるのかを探っていきます。

乗客数と混雑率は別の指標

まず押さえておきたいのが、「乗客数」と「混雑率(混雑度)」は別物だという点です。乗客数は一日を通した利用者数で、混雑率はピーク時(ラッシュ時間帯など)の車内の密度を指します。

たとえば、朝の2時間に利用が集中していて、他の時間帯はガラガラでも、全体の乗客数は少なく見える一方で、ラッシュ時の混雑率は高くなります。つまり、「一部の時間帯に利用が偏っていること」が混雑の原因です。

列車の本数や車両数が需要に追いついていない

新線では、開業当初は保守的な運行体制が取られる傾向にあります。車両数や運行本数を絞った状態で運用されるため、特定の時間帯に乗客が集中すると、混雑しやすくなります。

たとえば、朝8時台の通勤通学客が一斉に乗車すれば、車両が少ないと一気に混み合います。利用者数が目標の半分でも、その「半分」が一時的に集中すれば、実質的な混雑感は極めて高いままです。

需要予測は1日の平均、実際はピーク集中

需要予測では「1日あたり◯万人利用」として算出されますが、通勤・通学時間帯に集中する都市部ではピーク時の輸送力確保が重要です。

たとえば1日2万人の利用があっても、その半分以上が朝7時~9時に集中していれば、その時間帯は非常に混雑し、それ以外の時間は空いているという状況になります。

現場の声:混雑は体感に直結する

実際にSNSなどでは「全然座れない」「乗り降りに時間がかかる」「毎日押し込まれてつらい」といった声が見られます。こうした体感的な混雑は、利用者にとって大きなストレスであり、運行改善を求める声につながっています。

実例として、某地方都市の新線では利用者数が予測の65%程度でも、朝の便は立ち客が多数という状態が続いています。このことからも、利用者数と混雑の体感は必ずしも一致しないとわかります。

「利用が少ないのに混んでいる」の理由を整理

  • ピーク時の集中:全体の利用が少なくても、特定時間帯に集中することで混雑が発生
  • 運行本数や車両数の制限:少ない車両で多数をさばく状況が生まれやすい
  • 混雑の体感は1回の乗車で決まる:混雑した1回の印象が「いつも混んでいる」と思わせる

まとめ:混雑は数字以上に「時間」と「輸送力」が関係している

「予測の半分しか利用されていないのに混んでいる」という現象は、一見すると矛盾ですが、ピーク集中や輸送体制の影響を考えれば納得できる結果です。

今後、ダイヤの見直しや増発によって改善されることが期待されますが、需要の実態に合わせた柔軟な運行が求められています。

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