岐阜県の山あいにある東白川村は、鉄道も通っておらず、著名な観光地も少ない地域です。しかし、そんな環境にもかかわらず、同村は今も単独の自治体として存在し続けています。その背景には、地域の自治意識や独自の取り組みが深く関係しています。
東白川村とはどんな村か
東白川村は岐阜県東濃地方に位置し、周囲を山々に囲まれた人口約2,000人ほどの小さな村です。鉄道や高速道路の整備はなく、アクセスは車が主になります。
しかし、村内には「東白川茶」として知られる特産品があり、自然豊かで清流が流れる風光明媚な地域としても知られています。白川郷のような世界遺産登録地ではありませんが、素朴で落ち着いた農山村の魅力があります。
なぜ他市町村と合併しなかったのか
平成の大合併時、多くの自治体が合併を進める中、東白川村は「村の個性と自主性を守る」という方針を貫き、合併を見送りました。
実際に、村民の多くが合併に対して慎重な意見を持ち、住民投票では独立維持の意向が強く示されました。この背景には、地域の結びつきの強さや村内での行政サービスへの信頼があります。
小さな村が自立できる仕組み
一見すると財政が厳しそうに見える東白川村ですが、国や県からの交付税や補助金に加えて、村独自のふるさと納税や地場産業の振興により、持続可能な財政運営をしています。
特に「東白川茶」や地元の木工製品などを通じた地産地消の推進や、外部からの移住者を支援する住宅政策などが注目されています。こうした取り組みが、人口減少の抑制や村の活性化につながっています。
教育・福祉・インフラに力を入れる行政
村は教育や福祉にも力を入れており、子育て支援や高齢者支援が手厚いのも特徴です。小中学校は村内にあり、少人数教育を活かした特色ある教育が展開されています。
また、公共交通が限られている中で、地域内交通(オンデマンドバス)など独自の交通支援策も導入されており、住民の移動を支える工夫もされています。
「何もない」ではなく「あるものを活かす」
確かに、鉄道も大規模観光地もない地域かもしれませんが、東白川村には自然、伝統、地域のつながりといった資源があります。
その価値を村が丁寧に育て、住民とともに守り続けていることが、自治体としての自立性を保つ大きな要因といえます。
まとめ:小さな村の持続可能な未来とは
東白川村が合併せずに存続している背景には、「小さくても自分たちの力で運営する」という強い自治意識と、地域資源を活かした持続可能な政策があることがわかります。
人口減少や少子高齢化という課題を抱えながらも、他地域とは異なる価値を生み出し、独自性を保つ東白川村のあり方は、今後の地域自治のヒントになるかもしれません。


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