1972年に中国からジャイアントパンダが上野動物園に贈られて以来、日本の動物園の「顔」として長年にわたり高い人気を誇っています。しかし、パンダが来日する以前にも、多くの来園者の心をつかんだ人気動物が存在しました。この記事では、パンダが現れる前の時代に、どのような動物が注目を集めていたのかを振り返ります。
戦前から戦後にかけての動物園人気の変遷
日本で近代的な動物園が普及し始めたのは明治時代で、最初の動物園は1882年に開園した上野動物園です。当時はキリン、ライオン、ゾウなどの大型動物が「異国の生き物」として圧倒的な人気を誇りました。
戦後の混乱期に一時的に動物の数が激減した時期もありましたが、復興が進む1950年代以降、再び動物園が家族のお出かけ先として人気を集め、トラやチンパンジー、クマといった動物が注目されていきます。
「花子」という名のゾウが象徴した時代
特に戦後の復興期を象徴する存在として知られるのが、上野動物園のアジアゾウ「花子」です。戦争中に命を落とした多くの動物の中で、終戦後にインドから贈られた花子は「平和の象徴」として愛され、当時の人気は今のパンダに匹敵すると言われています。
花子は1950年代を中心に来園者の関心を一身に集め、多くの子どもたちに夢を与えた存在でもありました。新聞や絵本などでも取り上げられ、日本全国で知られる動物となったのです。
猛獣ブームとチンパンジーの知能に魅了される時代
1960年代にはテレビや映画で猛獣が取り上げられることが増え、特にライオンやトラ、ヒグマといった猛獣系動物が子どもたちの憧れの存在に。迫力ある姿と「強さ」に魅了され、来園者の人気を集めました。
また同時期、チンパンジーの知能の高さが注目されるようになり、「人間に似た行動をする動物」としてテレビ番組などでも紹介され、動物園での実演イベントなどが人気コンテンツとなっていました。
地方動物園で人気だった動物たち
全国各地の地方動物園でも、地域の個性を生かした動物が注目を集めていました。例えば、札幌市円山動物園ではホッキョクグマが人気で、冷たい気候を活かして生き生きとした姿が見られると評判でした。
また、名古屋市東山動物園ではコアラの登場(1980年代)以前にも、キリンやカバといった「大型で温厚な動物」が親しみやすい存在として人気を集めていました。
パンダ登場による「アイドル動物」の時代へ
1972年に中国から贈られたカンカンとランランの登場はまさに社会現象となり、パンダブームが巻き起こりました。このタイミングを境に、動物園での人気動物の概念も「迫力や珍しさ」から「可愛らしさ・愛嬌」へと変化していきます。
それまで人気だった猛獣や大型動物に代わり、「見て癒される存在」としての動物がクローズアップされるようになったのです。
まとめ:パンダ以前にも魅力的な動物たちがいた
パンダが来日する前も、日本の動物園には多くのスター動物が存在し、それぞれの時代背景とともに多くの人々に愛されてきました。ゾウの花子、猛獣たちの力強さ、チンパンジーの賢さなど、パンダ以前にも動物園を彩る個性豊かな存在が多くいたことを改めて認識しておきたいですね。


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