街中で走る路線バスは、あまりスピードを出さずこまめに停車するため、独特の運転スタイルが求められます。特にマニュアルトランスミッション(MT)を採用している車両では、ギア操作が頻繁に行われますが、実際の現場では「4速までしか使わない」と言われることがあります。これは本当なのでしょうか?また、なぜそのような運転になるのでしょうか?
バスがマニュアル車である理由
最近ではオートマチック車が主流になりつつあるものの、地方路線や旧型のバスではマニュアル車も根強く残っています。MT車は構造がシンプルでメンテナンスコストが低いという利点があります。
また、一定の速度域とトルクが必要な路線運転において、運転者がギアをコントロールすることで燃費の最適化ができる点も重視されています。
4速までしか使わない理由とは?
路線バスは基本的に、「発進→加速→停止」を数百メートルごとに繰り返す運行形態です。このため、高速走行を前提とした5速や6速ギアに入れる機会が少なくなります。
多くのバスでは40〜50km/h前後までの速度で運行するため、4速が上限となる場合がほとんどです。特に都市部では、信号や横断歩道、乗客の乗り降りが多いため、3速か4速での走行が実用的なのです。
実際の運転士の証言
実際に路線バスの運転士に聞いたところ、「5速まで入れることはほぼない」との声が多く聞かれました。「1速で発進して、すぐに2速、3速、4速とつなぐけど、次の停留所が近ければ3速止まり。5速なんて高速道路でもない限り出番がない」と話してくれました。
また、「5速に入れるのは郊外の幹線道路を走るときくらい」とのコメントもあり、運行ルートに応じたシフトワークが求められていることがわかります。
使用ギアの選択は運転の快適性と安全性にも関係
ギア選びは単なる操作ではなく、安全かつ快適な運転のために欠かせません。例えば、ギアを高く入れすぎてしまうとトルク不足になり、乗り心地が悪くなるうえ、エンストや加速不良のリスクも高まります。
逆に低すぎるギアを維持しすぎると、エンジンが高回転になって騒音や燃費の悪化につながります。4速あたりが最も効率的に力を伝えられるため、バランスの良い選択として自然と多用されるのです。
マニュアル車のバスが減りつつある理由
近年ではAT(オートマチック)やAMT(自動変速機能付きマニュアル)を搭載したバスが増加しています。これは運転士の高齢化や若手ドライバーの確保を背景に、操作を簡略化する流れにあるためです。
それでも地方や古い車両ではMTバスが残っている場合もあり、その特性を理解した運転が今も必要とされています。
まとめ:路線バスで4速が多用されるのは合理的な選択
路線バスが4速までしか使わないのは、停留所間の距離や交通状況に最適なギア選択だからです。決して「使わない」のではなく「使う必要がない」というのが実情です。
街中でバスを見かけたとき、ギアチェンジの音や走り方に注目すると、また違った楽しみが見つかるかもしれません。


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