都市高速道路における制限速度は一般的に60km/hに設定されており、「高速道路」という名前から受ける印象とギャップを感じる方も多いでしょう。この記事では、都市高速がなぜ“高速道路”と呼ばれるのか、その定義と背景について解説します。
都市高速とは何か?
都市高速は、正式には「自動車専用道路」の一種であり、高規格な構造を持つ有料道路です。代表的なものとして、首都高速道路や阪神高速道路、福岡都市高速などが挙げられます。
一般道との大きな違いは、歩行者・自転車・原付の進入が禁止されており、信号もなく、インターチェンジでのみ出入りできるという点です。
高速道路の定義と法的な違い
日本の道路法や道路交通法では、「高速自動車国道」と「自動車専用道路」に区分されており、都市高速は後者にあたります。つまり、法律上は「高速自動車国道」ではないものの、自動車専用道路であり、高速通行が想定された設計になっています。
このため、「高速道路」という用語は広義で使われており、「都市高速」もその一部として扱われています。
制限速度が60km/hに設定される理由
都市高速の制限速度が比較的低く設定されているのは、安全性と構造的な制限が主な理由です。以下のような特徴があります。
- カーブや合流が多い:都市部を縫うように建設されており、急なカーブや短い加速車線が多いため、高速走行に不向きな構造が多い。
- 交通密度が高い:利用台数が非常に多く、常に混雑している時間帯も多いため、事故防止の観点からも速度は控えめに。
- 周辺環境との兼ね合い:住宅地やビル群の近くを通ることが多く、騒音や排気ガスの観点からも速度制限が必要とされます。
高速道路という呼称の歴史的背景
1960年代以降、日本各地でモータリゼーションの進展と共に「高速道路網」の整備が始まりました。その中で都市部にも高速移動を可能にする道路として都市高速が建設され、同様に“高速道路”という呼び名が定着しました。
たとえば首都高速は1962年開通ですが、その当時から都市間高速と同じように「都市高速道路」=「高速道路」の一種として広く報道・行政に使われました。
都市高速のメリットと利用上の注意
制限速度は控えめですが、都市高速には以下のようなメリットがあります。
- 信号や交差点がないため、渋滞を避けたスムーズな移動が可能
- 環状線や放射線ルートなど都市構造に合わせた多様なルート設計
- 料金体系が比較的安価なケースが多く、短距離利用にも向いている
一方で、分岐が多い、車線が狭い、合流が難しいといった運転上の注意も必要です。
まとめ
都市高速はたとえ制限速度が60km/hであっても、「自動車専用道路」であり、信号や歩行者のない高速通行が可能なインフラです。法的には「高速自動車国道」ではないものの、広義の「高速道路」として社会的にも位置付けられています。
制限速度が低い理由は安全性と都市構造に起因しており、その設計思想と目的を理解することで、より安全で快適に利用することができるでしょう。


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