地域名物とネーミングの不思議｜なぜ関係ない動植物や言葉が使われるのか？

地域のお菓子や名物には、その土地と必ずしも関係がなさそうな名前が付けられていることがあります。「なぜこの名前？」と感じることは誰にでもあるでしょう。この記事では、その背景や人々が抱く印象の違いについて考察していきます。

地域性のない名前が使われる理由とは

例えば千葉県のお菓子に「雷鳥」という名が付いていた場合、雷鳥が高山地帯に生息する鳥であることから、千葉県のイメージと結びつかず「なぜ？」と感じる人も多いかもしれません。

しかし、雷鳥という言葉には「神秘的」「日本的」「和の自然美」などの印象があるため、地域に直接関係なくてもそのイメージを商品に取り入れたいという意図が働いていると考えられます。

愛知県岡崎市の銘菓「手風琴の調べ」も、実際にはアコーディオンと岡崎の直接的な関係性は不明ですが、音楽的で情緒ある名前がお菓子のイメージと合うため採用されているのでしょう。

地域にゆかりがなくても、響きや見た目が「洗練されている」「高級感がある」と感じさせるネーミングは選ばれやすい傾向にあります。

東京や和歌山でパンダのイメージが強いのは事実ですが、全国的に人気のあるキャラクターであるため、別地域で使われても違和感が少ないと感じる人は多いでしょう。たとえば「コアラのマーチ」は名古屋の東山動物園にコアラがいた影響もありましたが、今となっては全国展開のお菓子として定着しています。

こうした動物は「かわいい」「親しみやすい」など普遍的なイメージがあり、地域色を超えて使われるケースが多いのです。

ある人は「地元と関係ない名前は違和感」と思い、別の人は「響きやイメージがよければOK」と感じる。これはその人が「地域ブランド」にどれだけ関心を持っているか、「名前の由来」に敏感かどうかによって変わってきます。

また、ネーミングに対する期待値も個人差があり、「ご当地性」にこだわる人は違和感を覚えやすく、「イメージ重視派」は気にしない傾向があります。

もちろん、「雷鳥」が長野県や富山県で使われていれば納得感があるように、地域と実際に結びついていると親近感や信頼感が増します。

最近では、地元の伝説や文化、風景などをモチーフにしたネーミングが増えており、消費者が「意味を知る楽しさ」を味わえることも魅力となっています。

地域名物や商品名には、その土地との関連性が薄くても、響きやイメージを優先してネーミングされるケースが少なくありません。違和感を覚えることがあっても、そこに込められた意味や意図を探ることで、また違った楽しみ方が見えてきます。

自分が住む地域や旅先で出会った「なぜこの名前？」と思うものも、その背景にある文化的な意図やセンスを感じ取ってみると、地域の魅力をより深く知るきっかけになります。