JR各社が2026年3月に「往復乗車券」と片道601km以上の「往復割引」を廃止するという発表があり、長距離ユーザーに衝撃が走っています。この記事では、その背景を歴史から現在の交通事情まで整理して詳しく解説します。
往復割引とは?–601km以上で1割引
往復割引は、片道601キロ以上の区間を往復乗車券で購入した場合に、往路・復路それぞれが1割引になる仕組みでした。長距離移動の節約術としてビジネス客や帰省に利用されてきました :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
この制度は1887年から続き、100年以上にわたって親しまれてきました :contentReference[oaicite:1]{index=1}。
廃止の3つの理由
1. 利用者の減少と販売枚数の低下
過去5年間で往復乗車券の利用は約2割減少。中長距離切符に占める割合は16%にとどまる水準です :contentReference[oaicite:2]{index=2}。
2. ICカードとネット予約の普及
Suicaなどの交通系ICカードや「新幹線eチケット」「EX予約」などのオンライン予約サービスに移行が進み、紙の切符の需要は激減しています :contentReference[oaicite:3]{index=3}。
3. 旅客営業規則の簡素化と業務効率化
JRは営業制度の見直しを進めており、複雑な制度の簡素化が不可欠となっています。窓口業務の軽減や、オンライン・キャッシュレス化への対応が迫られています :contentReference[oaicite:4]{index=4}。
利用者への影響と代替手段
廃止後は、片道切符2枚買いになるため往復割引は使えず、600km以上の移動では1割引が無くなります :contentReference[oaicite:5]{index=5}。
ただし、JR各社はネット予約限定の割引商品を充実させており、これらでの補完が期待されています :contentReference[oaicite:6]{index=6}。
なぜ今まで残っていた?そして廃止へ
往復乗車券は、帰りの窓口混雑を避け、乗車有効期間を延長できるなど、利用価値がありました。しかし、交通のデジタル化で役割が薄れ、“裏技”的利用(金券的節約術)も問題視されてきました :contentReference[oaicite:7]{index=7}。
国鉄時代から続く歴史ある制度も、今後の鉄道利用のあり方に合わなくなったという判断です :contentReference[oaicite:8]{index=8}。
まとめ:スマホ時代の合理化へ向かうJR制度
- 往復割引は2026年3月に廃止。往復乗車券による割引制度そのものが終了。
- IDカード・オンライン予約が主流となり、需要減少が最大の要因。
- 複雑な営業ルールを簡素化し、業務負荷を軽減、スマートな運営へ。
- 今後はeチケットや会員制割引で新たな節約手段が期待されます。
長年にわたり愛されてきた「往復割引」制度は、便利さとお得感の影に「使われなくなる時代」の波を受けて姿を消します。今後はデジタルチケットでの対応が進むでしょう。


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