航空機の通信機故障に直面した際、AIPの文言だけでは具体的にどの誘導状況を想定しているのか分かりづらいことがあります。本記事では、特にターミナル・レーダー誘導中の故障が示す範囲について、AIP ENR1.1‑7やLost Communication Procedureと照らし合わせながら詳解します。
「レーダー誘導中」とはどの状況を指すのか?
まず「レーダー誘導中」とは、ターミナル管制官が機体に対し
- 進入コースへのベクトル付与(Vector to final approach course)
- 交通回避の目的での転換指示(Turn … Due to traffic)
- 気象回避のためのヘディング変更(Turn … Report clear of WX)
などを行っている全ての状況を含みます。つまり、着陸目的だけに限定されず、多様なレーダー指示下すべてを「レーダー誘導」と捉えるべきです。
故障時の手順:AIP ENR1.1‑7に基づく対応
到着機がレーダー誘導中に通信不能となった場合、AIP ENR1.1‑7 18.3に記されている通り、
「第三部飛行場(AD)の通信途絶方式によること」
、すなわち対象となる空港のLost Communication Procedureに従って進行・着陸を行います。
着陸時以外の誘導下での故障時はどうなる?
一方、着陸誘導コース確定前の誘導で通信機が故障した場合でも、同様に第三部のプロシージャに従います。つまり、AIP ENR1.1‑6 18.2(2)aで示された「承認された経路に戻る」などの手順適用ではなく、すべてのターミナルレーダーによる誘導中の故障時にはADごとのLost Communication Procedureへ移行します。
実務で押さえておくべきポイント
どのタイミングで切り替えるか:通信途絶に気付いたら、速やかにレーダー誘導が終了したと認識せず、Lost Communication Procedureへ切り替える。
また、ATCとの意思疎通が途絶した際は、Squawk 7600とともに最後のATC指示を遵守し、ADに定められた手続きを開始することが重要です。
まとめ:どの誘導中でもLost Communication Procedureへ
以上を整理すると、ターミナル・レーダーによる全ての誘導中(進入、交通回避、気象回避を含む)で通信機が故障した場合には、AIP ENR1.1‑7 18.3に従い、該当飛行場のLost Communication Procedure(第三部)を適用するのが正しい対応になります。


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