飛行機内で急病人が発生した際、「医療関係者の方はいらっしゃいますか?」とアナウンスされることがあります。一般には内科医や外科医の介入が求められる場面と考えられがちですが、精神科医であっても現場で果たせる役割は意外と多く、乗客の安全と機内の秩序を守る上で重要な存在となることもあります。
精神科医の知識はどんな場面で活きるのか
精神科医が機内で活躍できるケースは主に次のような状況です。
- パニック発作:呼吸困難や過呼吸を訴える乗客の多くが、実は心因性のケースであることがあります。
- 解離性障害:意識があるようで反応が乏しいなどの症状に、医学的な鑑別が必要になることも。
- 精神的混乱:アルコール摂取や薬物使用、時差ボケ、精神疾患などで混乱を起こす乗客の対応。
これらは身体的な処置だけでなく、精神科的な視点での声かけや状況の整理が求められる典型例です。
医師免許を持つ限り、緊急時の対応は誰であれ歓迎される
飛行機内での緊急医療は「完璧な処置」ではなく、「最善の対応」が目的です。精神科医であっても医学的なトレーニングを受けた専門家であり、基本的なバイタル確認、意識レベルの把握、現状の共有ができるだけでも大きな助けになります。
特に精神科医は「話を聴く」「落ち着かせる」といった対人スキルに長けており、機内のような制限環境ではむしろ頼られる場面も多いのです。
精神科医の支援が評価された実例
ある精神科医は、飛行中にパニック発作を起こした女性乗客の対応にあたりました。身体症状としては息苦しさと震えでしたが、診察の結果、過去にも同様の発作歴があることがわかり、精神的ケアを行うことで着陸まで安定状態を保つことができました。
また別のケースでは、うつ状態の乗客が機内で泣き崩れた際に、精神科医が声かけを行い、他の乗客や乗務員と連携しながら状況を落ち着かせた例もあります。
精神科医にできる具体的な対応例
- 症状の心理的要因の判断
- 状況の口頭整理とパニック回避
- 簡単な診察(バイタルチェック)と経過観察
- 患者本人・周囲・乗務員とのコミュニケーション調整
医療処置そのものではなく、機内全体の安心と秩序の維持という意味でも、精神科医の関与は非常に有意義です。
まとめ:精神科医も立派な医療リソース
精神科医であっても、飛行機内の緊急時には十分に「役立つ存在」として対応が可能です。身体的な処置に加え、心理面へのアプローチが求められるケースも多く、医師としての知識と経験は必ず乗客の安全に寄与します。
「自分が精神科だから役に立たない」と考える必要はまったくなく、むしろ「だからこそできる対応」があると自信を持っていただいてよいのです。

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