高速道路の整備計画において、「なぜ新しいルートではなく、既存の路線に並行する道路ばかりが優先されるのか」と疑問を持つ人は少なくありません。この問題には、交通量、経済合理性、行政手続きなど複合的な要因が絡んでいます。
並行路線が優先される背景
並行路線は、既存の幹線道路が飽和状態にある場合の「バイパス的な役割」を果たすために必要とされます。特に交通集中が激しい地域では、渋滞や事故多発を緩和する目的で、新たな並行路線が計画されます。
例えば、新名神高速道路は、名神高速道路の交通集中を避けるために整備され、輸送の安定化や災害時のバックアップ路としても活用される構想が含まれています。
新路線が後回しになる理由
新しい高速道路の建設には膨大なコストと時間がかかるだけでなく、地元の合意形成や環境アセスメント、用地買収などのハードルが高いことがしばしばです。
その一方で、並行路線であればすでに国や自治体がインフラ整備済みの区域が多く、相対的に早期に着工しやすくなります。
交通量と採算性が計画に影響
高速道路は公共インフラでありながら、原則として有料道路としての収支採算性が求められることから、一定の交通量が見込める区間が優先されます。
地方部や山間部に新路線を通す構想があっても、実際には利用者が少ないため、建設費に見合う効果が得られにくいという判断が下されることもあります。
防災・BCPの観点からの整備
近年は災害対策や事業継続計画(BCP)の一環として、既存路線に並行する高速道路の意義が再評価されています。東日本大震災以降、1路線しかない地域は緊急支援が滞るリスクが顕在化したため、代替ルートの整備が急務とされているのです。
実例として、中日本高速道路株式会社は、中央道と東名の二重化を強調し、災害リスクの低減を理由にしています。
地元自治体や経済界からの要望
多くの高速道路計画は、地元自治体や経済団体からの強い要望が起点となっています。物流効率や観光需要、地域間格差是正など、さまざまな目的で並行ルートを求める声が高まる中、行政側はより「説得しやすい」案件を優先する傾向があります。
新路線は「あると便利」ではあっても、「今ないと困る」という状況が発生しづらいため、後回しになりやすいのです。
まとめ
高速道路が既存路線に並行して建設されるのは、交通混雑の緩和、災害リスクの低減、早期着工のしやすさ、収支見通しの確保など、多角的な要因が重なってのことです。一方で、まだ道路のない地域に新路線を整備するには、時間も費用もかかり、採算性の見通しが立ちにくいため後回しになりやすい構造があります。


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