日本各地で親しまれているトウモロコシには、地域ごとにさまざまな呼び方があります。その一つが「なんば」という表現。この記事では、「なんば」とは何か、なぜトウモロコシをそう呼ぶのか、どの地域で使われているのかを解説します。
「なんば」は関西の方言のひとつ
「なんば」とは、主に関西地方、特に大阪や京都などで使われている方言で、トウモロコシを指す言葉です。現代では標準語の「トウモロコシ」が一般的になっていますが、年配の方を中心にこの言い方は今でも根強く残っています。
例えば大阪では屋台で売られていた「焼きなんば(焼きトウモロコシ)」が夏の風物詩でした。昭和の時代には多くの人が「なんば」と自然に呼んでいた歴史があります。
語源はポルトガル語やスペイン語?
「なんば」という言葉の語源にはいくつかの説があります。一説では、ポルトガル語の「nanban(南蛮)」が由来とされており、江戸時代に南蛮渡来の作物という意味で使われたのが始まりともいわれています。
また、「ナンバンコウリ(南蛮高粱)」とも呼ばれていたトウモロコシは、外国から入ってきた穀物というニュアンスを含み、「なんば」と略されて定着したと考えられています。
「なんば」は関西だけじゃない?
「なんば」という呼び方は関西だけでなく、中部地方や四国地方でも確認されています。例えば三重県や岐阜県、徳島県の一部などでも高齢者を中心に使用されることがあります。
一方で、東日本では「とうきび」「とうもろこし」が一般的な呼び方であり、「なんば」と言っても通じないことが多いです。
今も残る「なんば」の文化的な価値
トウモロコシを「なんば」と呼ぶ背景には、地域の歴史や文化が深く根付いていることがわかります。特に昭和世代の人々にとっては、夏祭りの焼きなんばや、縁側で茹でたてを食べた記憶と結びついている言葉でもあります。
言葉の変化とともに消えつつある方言ですが、今なお地元では使われている例も多く、こうした方言を通して地域の会話や人とのつながりが生まれることもあるでしょう。
まとめ
トウモロコシを「なんば」と呼ぶのは、関西を中心とした日本の一部地域に見られる文化的な言葉遣いです。ポルトガル語由来の説や、昭和の生活文化などが背景にあり、地域の高齢者との会話などで出てくることがあります。今後もこうした言葉の意味や価値を見直すことで、日本の言語文化の奥深さに触れられるはずです。

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