高速道路の合流地点では、交通の円滑な流れと安全確保が求められる場面ですが、実際には一部のドライバーが本線優先を理由に譲らないという行動を取ることがあります。この記事では、その背景や法的根拠、実際の事故リスク、そして望ましい運転行動について解説します。
道路交通法における合流の優先順位
日本の道路交通法では、高速道路において「本線車道」が優先されるという規定があります。そのため、合流しようとする側が加速車線でスピードを調整しながら本線の流れに合わせて進入するのが基本とされています。
とはいえ、これは「本線側が絶対に譲らなくてよい」という意味ではありません。実際には、安全を最優先とし、場合によっては本線側のドライバーもスピードを落とす・車線変更するなどの配慮が必要です。
なぜ譲らないドライバーが存在するのか
国土交通省の調査などによると、1~2割程度のドライバーが「本線優先だから譲らなくてよい」と認識し、スピードを変えずに走行を続ける傾向があると報告されています。これは運転マナーや道路交通法の理解不足に起因していると考えられます。
また、自車の後続車との車間距離や交通の流れを理由に譲る余裕がないと感じるケースもあります。
事故リスクと現実的な対応策
合流地点での譲り合いがなされないと、合流車が強引に本線へ進入することになり、追突や接触事故のリスクが高まります。特にスピード差が大きい場合には、深刻な事故に発展することもあります。
本線側でも「加速車線が短い」「合流車の車間が詰まっている」など、危険な兆候が見られる場合は、一時的にスピードを落とす、または左車線を避けるなどの防御運転が求められます。
合流時に求められる理想のマナー
円滑な合流のためには、お互いの譲り合いが不可欠です。理想的なマナーとして以下のような対応が望まれます。
- 合流する側:適切な加速で流れに合わせる
- 本線側:車間距離に余裕があれば速度調整や車線変更でスペースを作る
- 双方ともウィンカーを早めに出すことで意図を明確にする
実際にJAFなどが啓発する安全運転講習でも「合流時は譲り合いの意識を持つことが事故防止につながる」と繰り返し指導されています。
実例:譲らなかったことで起きた事故ケース
2022年、関東地方の高速道路で起きた事故では、加速車線で合流しようとした軽自動車が本線走行中のトラックに接触し横転、けが人が出る事故となりました。後の調査で、トラックは「譲る必要がないと思った」と証言しており、ドライバーの判断が事故を招いた典型例とされています。
こうした事例は、安全意識と運転マナーの重要性を改めて考えさせられます。
まとめ:本線優先でも安全優先を
本線側が優先という法的根拠があっても、現実の交通状況では「譲り合い」が不可欠です。無理な合流や、頑なに譲らない姿勢は結果的に大きな事故を招く可能性があるため、柔軟かつ冷静な運転判断が求められます。
本線側でも、譲ることで全体の流れが円滑になることがあるということを意識し、安全とマナーを両立させた運転を心がけましょう。


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