地域の暮らしに密着したローカルバスの中には、時代の流れとともに廃止された路線が少なくありません。静岡県の御殿場・裾野エリアで運行されていた「岩波循環」もそのひとつです。岩波駅(富士見橋)を起点に呼子団地や下和田を巡り、再び岩波駅へ戻るルートを辿っていたこの循環路線について、運行の概要や系統番号の有無など、当時の姿を振り返ります。
岩波循環とはどんな路線だったのか?
富士急シティバスがかつて運行していた「岩波循環」は、御殿場線岩波駅からスタートし、呼子団地入口、下和田といった裾野市内の住宅地や地域を通過して再び岩波駅へと戻る循環路線でした。通学・通勤や買い物の足として地元住民に利用されていました。
運行本数は限られており、主に朝夕の時間帯を中心に設定されていたことから、地元の生活ニーズに特化したローカル系統と言えます。
系統番号は存在したのか?
岩波循環には正式な系統番号が割り振られていたという明確な資料は見当たりません。富士急シティバスの過去の時刻表や停留所案内でも、主に「岩波循環」の名称と経由地による表記がされており、「〇〇系統」といった番号での運用は行われていなかったと見られます。
ただし、バス車両前面の行先表示などでは、「岩波循環」「岩波駅〜下和田」などの表記が使われ、視覚的には明確に識別できるよう工夫されていました。
現在の路線との違いと廃止理由
「岩波循環」は、利用者数の減少や車社会の進行により、数年前に路線廃止となりました。代替として、コミュニティバスや乗合タクシーが導入されている地区もあります。
また、裾野市や周辺自治体が地域交通の再編を進めており、需要に応じた小型車両での運行やオンデマンド交通の導入が検討されるなど、公共交通の形も変わりつつあります。
地域交通の記憶としての岩波循環
こうした廃止路線は、地域の記憶や郷愁の一部でもあります。特に「岩波循環」のような小さな循環路線は、大きな路線網の一部というよりも、地域の暮らしと密接に結びついた存在でした。
地元の方々からは「昔はバスがあって便利だった」「通学に毎日使っていた」などの声もあり、地域交通の重要性を再確認させられます。
まとめ:姿を消した路線から見える地域交通の変化
富士急シティバスの岩波循環は、都市部では注目されることの少ないローカル路線でしたが、地域住民にとっては重要な移動手段でした。系統番号の有無に関わらず、その運行形態や経路は地域の歴史の一部と言えるでしょう。
今後、交通の利便性と持続可能性のバランスを図る上でも、こうした路線の記録や記憶は貴重な資料として役立ちます。


コメント